コロナ禍で加速する地方移住 東京が最大の人口流出地域に
昨年まで東京への人口集中の流れは止まらなかったが kokouu/iStock.
<昨年まで東京の流入人口は全国で最大だったが、今年は人口流出が最大となっている>
コロナ禍で国民の生活は甚大な影響を被っているが、生活不安のようなマイナスだけではなく、プラス方向の変化も見受けられる。対面での取引の見直し、テレワーク、そして地方移住などだ。
このうち地方移住では、東京の人口の出入りを見ると、今年7月以降、転入者より転出者が多くなっている。東京のような大都市は「転入>転出」すなわち転入超過の状態が常だが、変化の兆しが統計にも表れてきた。
総務省『住民基本台帳人口移動報告』によると、昨年10月の東京都の転入者は3万593人、転出者は2万7936人だったが、今年10月は順に2万8193人、3万908人と逆転している。昨年は2657人の転入超過だったが、今年はマイナス2715人と、ちょうど同じくらいの幅でひっくり返っている。
東京から転出した人は、どこかの県に居を移していることになる。これこそ地方移住だが、その実態を地図上で可視化すると<図1>のようになる。10月の転入超過数がプラスの県に色を付けた地図だ。
転入超過数がプラスの県は、昨年は11県だったが今年は24県に増えていて、地方にも点在するようになっている。関東を見ると、マイナスに変わった東京を、周囲の近郊県が取り囲む形になっている。遠い地方ではなく、週に何回かなら都心に通える近郊への移住が増えた、ということだろう。