中国TPP参加表明の本気度――中国側を単独取材

2020年11月28日(土)20時00分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

Q:中国は越境電子取引に関して、今やアメリカの2倍以上になっており、これを政府(入管)の監視の下に置くのか否か、あるいは監視を緩めるのかに関してはTPP11に加入する時の非常に厳しく審査される対象になるだろうと思われますが、現状と展望は如何ですか?

A:2018年11月から12月までの間に、中国の関連部局は越境電子商取引の監督業務改善に関して4つの文書を出しています(長いので省略)。この4つの文書は、直接購入輸入モデルと保税ネット通販モデルの規制法規であり、越境電子商取引の混乱の一端を規制し、越境電子商取引の政策や法規制の不足を補うことを目的としています。

ところがこれらの法規は外国企業と商品の販売を構成する国内消費者との関係を規制しているとして、一時期、一部の外国企業から批判を受け、中国の税関監督はより厳格になったのではないかと錯覚(誤解)された経緯があります。実際には、以前の監督の欠如は改善されて、以前よりも標準化されているのですが、こういった誤解が生じたことは事実です。

だからTPP11メンバー国は、中国は越境電子商取引の監視監督の自由化が不十分だとして反発する危険性があるのを中国は承知しています。したがって、その誤解を解く努力をしなければなりません。

例えば、何を誤解されているかというと、越境電子商取引の違法輸入の増加傾向に対応して、「越境電子商取引企業の管理を登録制から許可制に変更したこと」、「越境電子商取引参加者を信用管理下に置くこと」、「越境電子商取引参加者に物流情報を共有するためのインターフェイスを開放し、中国税関の監査を受け入れ、違反行為を積極的に申告するのを要求すること」などが規定されているのですが、一部の海外関係者は、これらを全て「中国政府によるデータ収集とデータ管理の強化」と勘違いしているということが挙げられます。 実際には、これらはすべて通常の標準管理の一部であり、データ収集やデータ管理ではありません。

知的財産権保護に関して

Q:TPP11で凍結されている事項の中には知的財産権に関するものが多いですが、それでもTPP11メンバー国のみならず、世界の多くの国は中国の知的財産権に関して問題視していますし、また凍結されていないTPP11の条約の中にも知的財産権に関するものが、それなりに残っています。これに関して中国はクリヤーできると思っていますか?現在の中国における知的財産権の現状と展望を教えてください。

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