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単身高齢者が賃貸物件を借りやすくする対策が不可欠な理由

2020年11月25日(水)14時10分
舞田敏彦(教育社会学者)

地域差もあり、都市部では借家住まいの単身高齢者が多い。東京では、高齢者世帯の18.5%、単身高齢者世帯の45.2%にもなる。未婚が進み、かつ地価が高いので持家が簡単に手に入らないためだ。地域の人間関係も希薄なので、誰にも発見されぬまま孤独死するリスクも高い。気をもんでいる家主も多いはずだ。

東京都内の地域別にみると、もっと高い数値が出てくる。<表1>は、同じ数値を都内23区別に計算したものだ。

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大都市の東京23区では、借家住まいの単身高齢者が多い。高齢者世帯に占める率が2割を超える区が多く、7つの区では単身高齢者世帯の半分を越えている。北区では、単身高齢者の6割が借家住まいだ。ここまで多いとなると、行政としても町内会や地域ボランティアを組織化して、定期的な見回りなどを実施しているだろう。

借家住まいの単身高齢者の量的規模を可視化したが、データで見るとかなり多いことが分かる。大都市ではむしろマジョリティだ。家主の側も、別居している子どもに定期的に様子見に来てもらう、管理会社に連絡を入れる、という条件を出しているのかもしれない。安否確認が途絶えたら鍵を開けて入ってもいいという承諾書をとっていることも考えられる。

他にも、電気・ガス・水道といったライフラインの利用状況を見る、トイレのドアにセンサーを設置し、一定期間開閉がなかったら管理会社に連絡がいくようにするなど、安否確認(孤独死防止)の策はいろいろある。ICTが進化しているので、それを精緻化するのは難しいことではない。

賃貸住宅の顧客は、以前は単身の若者だったが、今後は単身高齢者となる。孤独死防止の装置を備える費用は、ある程度は国や自治体が負担しなければならない。生活の基盤となる住居の保障は「公」の役割だ。

<資料:総務省『住宅土地統計』(2018年)

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