サウジアラビア、バイデン政権に備えムスリム同胞団の弾圧急ぐ
シェイフ・イスラム問題・布教・指導相はテレビインタビューで、同胞団メンバーを当局に通報するよう国民に呼びかけ、「これは宗教的な義務だ。通報しない者は皆、彼らと同類だ」と語った。
サウジの最高宗教組織、高位聖職者評議会も国民に対し、同胞団に参加したり、メンバーに「共感」を持ったりしないよう警告を発した。
全国的に、祈りの際の説教にも同様の内容が取り入れられた。
爆弾攻撃
紅海沿岸の都市ジェッダで最近、治安問題が2件発生し、先週は外国人を狙った爆弾攻撃が数年ぶりに起こった。爆弾攻撃については「イスラム国」(IS)が犯行声明を出し、他の治安問題や同胞団との関係はなかったが、これらの事件の後に同胞団の弾圧が始まった。
オックスフォード大のエリザベス・ケンドール氏は、サウジとしては過激派との対峙に注目を集めることが「役に立つ」と言う。予想通り米次期政権がサウジの人権抑圧を問題視した場合、計画的な弾圧を正当化するのに使えるからだ。
「サウジの新たな運動は、自らをテロリズムの犠牲者と位置づけるのに役立つ」とケンドール氏は言う。
米ブルッキングス研究所のシャディ・ハミド氏は、サウジはトランプ政権の残り2カ月間を有効活用する構えだと指摘。「バイデン大統領の下で監視が強まる前に、体制の持つ独裁主義を最大限に」活用する意向であり、「ゴールに向けた猛ダッシュのようなものだ」と話した。
(Aziz El Yaakoubi記者)
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