最新記事

日本社会

女性陸上アスリート赤外線盗撮の卑劣手口 肌露出多めのウェア着ている選手が悪いのか?

2020年11月21日(土)13時53分
酒井 政人(スポーツライター)PRESIDENT Onlineからの転載

露出の多いウエアを着ている女性選手が悪いのか?

そもそも女子選手たちはカメラで狙われやすいのに、なぜセパレート型のユニフォームを着ているのか? その最大の理由は、「動きやすさ」を追求しているからだ。従来のランシャツ&ランパンでは、ダイナミックな動きをする種目ではランパンに入れていたランシャツが出てしまうこともある。動きやすくて、競技に集中できるウエアを選んでいるわけだ。

普段の練習ではさほど着用しないかたちのウエアを着ることで、気持ちが引き締まるというメンタル面も大きい。そして、暑いときは「セパレートのほうが涼しい」という利点もある。

陸上競技は0秒01や1cmを争うため、僅かな「感覚の差」が結果に大きく影響することもある。アスリートがセパレート型のユニフォームを着用するのは自然な流れといえるだろう。

競泳の場合、以前はハイカット水着が主流だった。それは速さを求めたかたちだ。しかし、近年は膝上まで生地が覆われているオールインワン水着のほうが浮力を得られるため、女子選手の肌露出は少なくなった。これもパフォーマンスを重視した流れになる。

長年陸上競技を取材していると、セパレートのウエアに性的なものを感じることはない。しかし、競技を見慣れていない人たちにすれば、刺激的な服装に映るのだろう。日焼けしてない部分があらわになっているのも、彼らの気持ちをあおっているのかもしれない。

公道を走る駅伝は無法地帯「どこを撮られているかわからない」

Aさんは駅伝にも出場していたが、競技場で行われる大会よりも、沿道で行われるレースのほうが"恐怖"を感じることが多かったという。

「駅伝の場合は公道なので無法地帯です。走っているときは気にならないですけど、レースが終わった後にカメラを向けらえるのがすごく嫌でしたね。見られている意識はあるので、キャップを深くかぶるんですけど、どこを撮られているのかはよくわかりませんし......」

ただAさんが所属していたチームは選手が競技に集中できるように、ファンからの声かけを制止するなど、大会期間中は「芸能人とマネジャー」のような関係だったという。徹底的にガードされていたにもかかわらず、多くの写真が雑誌やネットに"流出"した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中