最新記事

2020米大統領選

トランプはバイデンにホワイトハウスを明け渡すか?

2020年11月10日(火)19時32分

米国には平和裏の政権交代という長い歴史がある。トランプ大統領は選挙結果が不当だと批判しているが、それでもこの歴史は受け継がれる可能性が高いと、国家安全保障の専門家らはみている。写真は5日、ホワイトハウスで記者会見するトランプ氏(2020年 ロイター/Carlos Barria)

米国には平和裏の政権交代という長い歴史がある。トランプ大統領は選挙結果が不当だと批判しているが、それでもこの歴史は受け継がれる可能性が高いと、国家安全保障の専門家らはみている。

今後数週間、数カ月間の展開を予想した。

トランプ氏のホワイトハウス退去に期限はあるか

期限はある。現在、大統領選は正式には終わっていない。各州で選出された選挙人が12月14日、正式な投票を行う。1月6日に、改選後の議会が選挙人団の出した結果を受け入れる。バイデン前副大統領が選挙人団の投票で勝つと、合衆国憲法が定める期日の1月20日の正午に宣誓して大統領に就任する。

トランプ氏が妨害してもバイデン氏は政権に移行できるか

できる。トランプ氏にはせいぜい、バイデン氏の政権移行を遅らせる力しかない。

1963年の「大統領移行法」により、政権移行ではキャリア公務員が決定的な役割を果たすことになった。キャリア公務員らは期限までに、次期政権の幹部らにデータを提供し、アクセスを与えなければならない。

同法の下、連邦の建物の管理権限がある連邦政府一般調達局(GSA)が大統領選の明白な勝者を認定した時点で、移行手続きが本格化することになる。この時点で次期大統領のチームは状況説明書を入手し公的な資金を使うことができるようになり、代表者を政府の諸機関訪問に差し向けることもできるようになる。

専門家で構成する「大統領移行センター」は8日、GSAのエミリー・マーフィー局長に書簡を送り、バイデン氏を勝者に認定するよう促した。

GSAは7日、「憲法で定められた手続きに基づいて勝者が明確になれば、直ちに明白な勝利候補を確認する」との声明を出していた。

政治家学者らはロイターに対し、この法的枠組みの強さを信頼していると述べた。

選挙戦でトランプ氏とバイデン氏は激しく対立してきたが、そうした中でもトランプ政権は今年、法令を順守し、バイデン氏陣営に連邦政府の事務所スペースと資源を提供してきた。

政府高官は就任に当たり合衆国憲法を守ることを宣誓する。つまり、この宣誓により、選挙人団の投票でバイデン氏が勝てば、トランプ氏が何と言おうと政府高官にはバイデン氏を次期大統領として認める義務があると、テキサス大国家安全法教授のロバート・チェスニー氏は話す。

「軍、シークレットサービス、連邦捜査局(FBI)、その他関連する組織が、選挙人団もしくは裁判所の決定に逆らってトランプ氏に従うとは、とても考えにくい」とチェスニー氏は述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中