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日本政治大阪都構想の住民投票否決で与党内に波紋 解散時期に影響の見方も
大阪市を廃止し、特別区を設置するか否かを問う「大阪都構想」の住民投票が1日、反対多数で否決され、与党内に波紋を広げている。写真は大阪城敷地内から撮影した大阪の街並み。2017年10月撮影(2020年 ロイター/Thomas White)
大阪市を廃止し、特別区を設置するか否かを問う「大阪都構想」の住民投票が1日、反対多数で否決され、与党内に波紋を広げている。与党内では、維新への支持そのものが減ったわけではないとの声が多い一方で、菅義偉首相とパイプの太い維新・公明党そろっての敗北は、首相の求心力や早期解散戦略に影響するとの声も浮上している。
首相は2日朝、大阪都構想の住民投票の結果について記者団に対し「地域の判断なので政府としてコメントは控える」としつつも、「大都市制度の議論に一石を投じた」と述べ、都構想を推進してきた維新への配慮も示した。
自民党内では「住所の区名変更などが受けいられなかっただけで、政策への支持と政党への支持は異なる」(幹部)として、自民党と協力関係にある維新に対する大阪市民の人気が陰っているわけでないとの受け止めも聞かれる。しかし、維新の会の代表でもある松井一郎大阪市長は都構想否決を受け、2023年までの「残りの市長任期をもって政界を引退する」と表明。関西での圧倒的な人気をてこに全国への浸透を狙う維新の戦略自体が問われる結果となった。
前回2015年の住民投票で都構想に反対した公明党が今回は賛成に転じたが、公明党支持層の5割が反対に回った結果も、与野党で驚きをもって受け止められている。
自民党内では「新型コロナの感染が拡大している間は、(集会などの選挙活動が制限される)公明党は戦力として使えないことが明らかになった」(竹下派)として、感染終息前の早期衆院解散は難しいとの見解が聞かれる。野党からも「安倍政権の7年間、安保法制などで苦しい決断を迫られた公明支持層に対して、中央のガバナンスが効かなくなっているのでは」(立憲民主党幹部)との見方がでている。
公明党内では今回の結果について「住民投票ではこのようなことはよくある」(幹部)と静観の姿勢。しかし維新前代表の橋下徹氏はテレビ番組で、公明党と「表面上は手を握ったが票が動いてなかった」と指摘。自民党内では「大阪での次期衆院選に様々な影響がある」(関係者)と懸念されはじめている。
9月の総裁選で圧勝し、高い内閣支持率を得てスタートした菅首相だが、都構想否決が今後の政権運営に影響するとの指摘もある。首相は官房長官時代から維新の会の松井代表や橋下氏と毎年年末に会食するなど良好な関係にある。次期衆院選で仮に自公が議席を減らし、憲法改正の発議に必要が3分の2を割り込んでも、「自公に維新を加えた連立も視野に入れている」(官邸関係者)とされてきた。
菅首相は無派閥のため政権基盤が盤石とはいえず、二階俊博幹事長や森山裕国対委員長ら与党中枢と公明党・維新との良好な関係が求心力の核とみられていた。このため「首相は今回の敗北で公明党と維新という2枚のカードを失った。来年は経済もより厳しくなる。早期解散はできないだろう。来年10月の任期間際までできないのではないか」(細田派)との見方も出ている。
(竹本能文 編集:石田仁志)
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