さらにエスカレートするトランプの「コロナ詐欺」
'Where's the Vaccine?' Doctors Blast Trump's Election Day COVID Promises
新型コロナウイルス感染により一時入院したトランプは退院した10月5日、ワクチンについてこう述べた。「選挙の前には入手できるべきだと思う。だが実のところ、政治が介入してごまかそうとしている。(それでも)選挙後すぐに出るだろう」
感染症の専門家でCDCの元所長であるトーマス・フリーデンは、ワクチンがすぐ手に入るかのような発言をトランプが続けていることを強く批判。故意に嘘の情報を流せば恐ろしいことになると警告した。
「コロナを止められるものが1つある。私はこれまで何カ月もそんなものはないと言ってきたが、1つだけある。それはマスクではない。移動制限でもない。ステイホームでもないし検査でもない。追跡調査でも人との接触を避けることでも隔離でもない。ワクチンですらない。それは信頼だ」とフリーデンはツイッターで述べた。
トランプ政権が元スタンフォード大学医療センター神経放射線学部長であるスコット・アトラスをコロナ対策のアドバイザーとして迎えた時は、十分な専門知識がないとしてフリーデンら世界中の多くの医師の批判の的となった。アトラスは感染拡大を深刻に捉えるメディアを「ヒステリー」と非難。また、ワクチンの実用化には時間がかかるというファウチの発言に異議を唱え、「自然な集団免疫」を目指すべきだと主張した。
FDAが臨床試験を妨害?
CDCは11月15日までにワクチン接種が可能な態勢を各州が整えるよう求めているが、それまでにワクチンが接種可能になるというのは希望的観測に過ぎないとの声も聞かれる。米公共放送NPRは31日、ワクチンの緊急使用を認めるかどうかはFDA次第だが、そもそも臨床試験の最終段階にあるアメリカの4社のうち申請したところは1社もないと伝えている。
「FDAはディープステートか誰かの差し金で、製薬会社がワクチンや治療薬の試験のための人集めを妨害している。連中は明らかに、(臨床試験の)結果を遅らせて11月3日より先にしようとしているのだ。スピードと命を救うことに注力しなければならないのに!」とトランプは8月22日、ツイートした。
その実、トランプがコロナ対策としてやったことといえば「ワクチン詐欺」と新型コロナを過小評価することぐらい。ついにアメリカでは30日、新たに確認された感染者数が9万9321人となり、1日あたりの新規感染者数としては世界最多となった。これまでの最多記録は9月17日のインド(9万7894人)だった。10月に入りアメリカでは30州で1日あたりの新規感染者数の過去最多を記録していたが、30日にはアイオワ州も加わって31州となった。
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