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中東OPEC主要国、バイデン政権を警戒 協調減産体制に亀裂も
米大統領選で民主党のバイデン候補が勝利したことを受けて、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」に亀裂が生じるのではないかとの懸念がOPEC主要国の間で浮上している。写真はOPECのロゴ。2016年9月28日にアルジェリアで開いた同機構の会合で撮影。(2020年 ロイター/Ramzi Boudina)
複数の関係筋によると、米大統領選で民主党のバイデン候補が勝利したことを受けて、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」に亀裂が生じるのではないかとの懸念がOPEC主要国の間で浮上している。
バイデン氏が、OPECの盟主サウジアラビアや制裁対象のイラン、ベネズエラ、またOPECプラスで主導的な役割を担うロシアとの外交関係を修正するのではないかとの見方が背景だ。
トランプ政権は、対イラン・ベネズエラ制裁を厳格に履行。これにより、原油の供給が細り、原油価格が値上がりしていた。バイデン氏が将来、制裁を緩和すれば、原油生産が増え、OPEC内で需給バランスを取ることが難しくなりかねない。
バイデン氏は、一方的に制裁を科してきたトランプ氏とは異なり、多国間主義の外交政策が望ましいとの考えを示している。選挙戦では、イランが2015年の核合意を順守すれば、米国は核合意に復帰すると発言している。
あるOPEC関係者は「イランが原油市場に復帰すれば、再び供給過剰となり、現在の協調減産がリスクにさらされる」と指摘。「ロシアが協調減産から離脱するリスクもある。そうなれば協調減産は崩壊する。ロシアを協調減産に参加させたのはトランプ氏だ」と述べた。
ロシアを最大の脅威と名指し
バイデン氏は、安全保障上最大の脅威としてロシアを名指しし、選挙戦ではサウジとの関係を見直すことも公約に掲げた。
トランプ氏は、国内エネルギー産業を保護するため、原油安競争を繰り広げていたサウジとロシアに政治的な圧力をかけた。これが前例のないOPECプラスの協調減産につながった。
トランプ氏は、サウジの事実上の支配者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子と密接な関係を築いたほか、OPECに対しても、生産量の決定や原油の値動きについてツイッターでたびたびコメントするなど、積極的に関与する姿勢を見せてきた。バイデン氏はOPECと距離を置く可能性が高いとみられている。
アルジェリアのヘリル石油相は「バイデン氏は、顧問の専門的な助言に頼るとみられ、トランプ氏のように行動を逐一管理することはないだろう」と指摘。「トランプ氏とは違って、ロシアのプーチン大統領と親密な関係を築くこともないとみられる」との見方を示した。
抜本的な関係見直しは予想せず
もっとも、バイデン氏がサウジとの外交関係を抜本的に見直す可能性は低い。湾岸諸国の外交筋は、数十年かけて築き上げた同盟関係をバイデン氏が打ち壊すことはないと予想している。
また、イランの石油政策に詳しい関係筋は、バイデン氏の勝利を歓迎する一方、制裁が速やかに解除されることはないとの見方を示した。
同筋は「たとえイランの制裁が解除されたとしても、原油輸出量を制裁前の水準に戻すには技術的な問題で2-4カ月かかる。OPECプラスには新たな生産上限を決定する十分な時間的余裕がある」と述べた。
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