最新記事

香港

【香港人の今4】「政権が見たいのは、こういう自己検閲だ」38歳新聞記者

RISING LIKE A PHOENIX

2020年11月27日(金)17時20分
ビオラ・カン(文・写真)、チャン・ロンヘイ(写真)

magHK20201127-4-3.jpg

「香港民主の女神像」企画者 Alex(30代前半) PHOTOGRAPH BY VIOLA KAM

「香港民主の女神像」企画者 Alex(30代前半)

昨年まで香港に「民主の女神像」はなかった。逃亡犯条例改正案反対のなかで生まれ、デモの精神的支柱になった。

制作を企画したのは、在日香港人のAI研究者Alexだ。「芸術の目的の1つは思考や議論を引き起こすこと。かつてない視点を社会に提供し、芸術と社会、政治の関連性をより立体的に表現する」

クラウドファンディングで集めた20万香港ドル(約270万円)で、高さ約4メートルの像を制作した。数カ月後、女神像は香港人の精神を象徴する観光名所、獅子山(ライオンロック)に運ばれた。

Alexも約40人と共に悪天候の中、「わが子」を頂上へ届けた。「嵐のなか女神を担いで運んだことで、香港人の不撓不屈を示したかった」

像をめぐる運動はこれで終わりではなかった。制作チームはミニサイズの女神像を製作・販売し、利益を各抗議活動の支援組織に寄付した。だが、国家安全維持法が立ちはだかる。

「ネット上での言葉遣いにも気を配る。黄色経済圏の店とコラボする際は、リスクを考える必要もあった。われわれの銀行口座も理由なく凍結された」

「香港民主の女神像」の本部は日本に移転。海外での香港支援活動に参加できるよう、大型の女神像も作り直した。

<2020年11月24日号掲載>

20250401issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月1日号(3月25日発売)は「まだ世界が知らない 小さなSDGs」特集。トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

海外動向など「不確実性高い」、物価に上下のリスク=

ワールド

中国の秘密ネットワーク、解雇された米政府職員に採用

ビジネス

米、輸出制限リストに80団体追加 中国インスパー子

ワールド

トランプ氏、情報漏洩巡り安保チーム擁護 補佐官「私
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 7
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 8
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 9
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 10
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中