最新記事

アメリカ政治

米下院選、トランプあがめる「Qアノン」信奉者が当選する

2020年10月31日(土)18時45分

米下院はこのほど、トランプ大統領をあがめる陰謀論「Qアノン」の非難決議を採択したが、11月3日の下院選では、複数のQアノン信奉者が当選する可能性がある。写真はQアノンのTシャツを着るトランプ氏の支持者、資料写真、9月撮影(2020年 ロイター/Elijah Nouvelage)

米下院はこのほど、トランプ大統領をあがめる陰謀論「Qアノン」の非難決議を採択したが、11月3日の下院選では、複数のQアノン信奉者が当選する可能性がある。

非営利団体メディア・マターズによると、11月3日の議会選に出馬している候補者のうち25人以上はQアノンの信奉者か、Qアノンの陰謀論をネット上に拡散している。2人は無所属、残りは共和党候補という。

このうち少なくとも1人は下院選で当選するとみられている。もう1人の候補も当選の可能性が十分にある。

連邦捜査局(FBI)はQアノンを国内テロの脅威と認識している。

Qアノンは「Q」と名乗る人物がネット上で流す根拠のない陰謀論で、2017年から始まった。民主党の有力政治家、ハリウッドのスター、「闇の国家」連合が児童売買春に関与しており、トランプ大統領が極秘でこうした勢力と戦っている、といった根拠のない情報を流している。

Qアノンの信奉者は、敵対する政治勢力を中傷する目的で、こうした事実無根の情報をネット上で拡散させているとみられる。

ジョージア州とコロラド州で当選の可能性

ジョージア州北西部の選挙区では、Qアノン信奉者の右派の中小企業オーナー、マージョリー・グリーン氏(46)が下院選に出馬。対抗馬だった民主党候補が選挙戦から撤退したため、当選するとみられている。

グリーン氏は2017年の動画で「Qは愛国者(patriot)だ」と宣言している。

共和党支持者の多いコロラド州西部の選挙区でも、保守系のポッドキャストでQが「本当」であることを期待すると今年春に発言したローレン・ボーバート氏(33)が勝利する可能性がある。同氏は銃を持つ権利を訴える活動家だ。

グリーン氏とボーバート氏は、ともに共和党の女性新人候補で「社会主義に歯止めをかける」ことを公約に掲げている。今年夏に共和党候補に確定した後は、Qアノンに関する過去の発言とは距離を置く姿勢を示している。

トランプ大統領は、今年8月にホワイトハウスで行った共和党全国大会の演説に2人を招待した。

ソーシャルメディアは、Qアノンの取り締まり強化に乗り出しているが、モーニング・コンサルトが最近実施した世論調査では、共和党支持者の38%が、Qアノンの陰謀論の少なくとも一部を信じているという結果が出ている。

Qアノンが勢力を拡大する前の2016年には、ワシントンのピザ屋が児童売春組織の拠点になっているという陰謀論を信じた男が、店内で発砲する事件が起きた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中