最新記事

仮想通貨

アメリカの一流企業がビットコインを「大量購入」 その狙いは?

2020年10月17日(土)15時01分
木村兼作(公認会計士)

alexsl-iStock

<アメリカでは上場企業が相次いでビットコインの取得を発表。彼らが見据える「価値」と「将来性」とは>

上場会社が資産保全のために保有する現預金の一部をビットコインに変える......。数年前までは想像の世界だった話が現実のものになりつつあります。大きなニュースがこの数カ月間に2つありました。

まず、Nasdaqに上場しているMicroStrategy Inc. (MSTR) が2020年8月11日に21,454 BTCを取得原価2.5億ドル(約250億円)で取得したことを発表しました。Michael Saylor CEO はビットコイン取得の理由を以下のように説明しています:


"MicroStrategyは資本配分戦略を決定するために数ヶ月間熟考を重ねました。このタイミングでビットコインへの投資を決定したのは、経済やビジネスの状況に影響を与えるマクロ要因が重なったこともあり、当社のコーポレート・トレジャリー・プログラムに長期的なリスクを生み出していると考えたことが一つの要因です。

これらのマクロ要因には、COVID-19に端を発した経済・公衆衛生危機、世界各国で導入されている量的緩和を含む前例のない政府の金融刺激策、世界的な政治・経済の不確実性などが含まれています。これらの要因が重なることで、法定通貨をはじめとする多くの従来型資産の長期的な実質価値の下落に大きな影響を及ぼす可能性があると考えています。"

また、投資対象としてのビットコインのポテンシャルを下記のように表現しています:


"MicroStrategyは、投資対象となる様々な資産クラスを検討する中で、ビットコインの特性を観察し、インフレに対する合理的なヘッジになるだけでなく、他の投資よりも高いリターンを得ることができる可能性があると考えるようになりました。"

MicroStrategyはさらに2020年9月14日に16,796 BTC を取得原価1.75億ドル(約175億円)で追加取得したことを発表しました。MicroStrategyはその結果、38,250 BTC(取得原価4.25億ドル、約425億円)をその貸借対照表(BS)に計上することになりました。MicroStrategyの時価総額は2020年10月12日時点で16.16億ドルなのでビットコインの保有高はそれの26%に相当します。

また、2020年6月30日時点の10Q(四半期報告)によると、同社の現金及び現金同等物残高が5.3億ドルなのでその大部分をビットコインの取得に当てたことが推測されます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 7
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中