中国の傲慢が生んだ「嫌中」オーストラリア
China Learns the Hard Way That Money Can’t Buy You Love
「中国人の心」に対して配慮を欠いたオーストラリアの態度に驚き、中国の外交官たちは自らの言葉がオーストラリア人の心をいかに傷つけるか気づかなかったようだ。オーストラリアの政治家や公的機関に尋常でないほど深く浸透しているにもかかわらず、中国の外交官は、民主的な意思決定のダイナミズムを理解できなかったか、その要求に屈することを拒んだ。もし中国が、有能なP R会社を通じた通常の外交を行っていたら、新型コロナウイルスのパンデミックによる関係悪化はごく短期間ですんでいたかもしれない。
だが実際には、中国政府が30年間にわたって築き上げたオーストラリアの意思決定に対する影響力があっという間に瓦解した。ここ数カ月、オーストラリアは中国系企業による豪戦略資産の買収を厳しく規制すると発表、州政府や自治体が認可した買収案件に対し連邦政府が拒否権を発動できる新たな法案を提出した。またオーストラリアの大学に対する外国の干渉について議会の調査も開始した。中国寄りの姿勢を取る政治家は、今ではかなり勇気のある者に限られる。振り子は逆に振れたのだ。
挫折したエリート取り込み作戦
オーストラリアだけではない。一国のエリート層を取り込む中国の世界戦略は、民主主義国のほとんどで失敗した。中国は、外国の内政干渉を食い止めようとするオーストラリアの努力を「ひどく理不尽な態度」と呼んだ。だが一般市民から見れば、それは常識だ。中国が世界の除け者になり、民主国家の政治家は、中国政府幹部と握手する姿は撮られたがらないし、中国にとってぼろい儲け話もなくなるだろう。
オーストラリアが中国に背を向けたことで、自由主義や西側同盟を重んじる価値観が再確認された。他の民主国家もこの例に倣うだろう。ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、香港や新疆ウイグル自治区における中国の人権抑圧を批判した。欧州でも、中国の干渉に市民が反発している。外国からの脅威に対する民主主義国の反応は必ずしも早くないかもしれないが、最終的には排除する。それこそ中国が学ぶべき教訓だ。
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