トランプが台湾に売った対中兵器の中身
U.S. Pushes Three Weapons Deals With Taiwan to Counter China Threat
HIMARSシステムは、1990年代後半から米軍が配備しているトラック型のロケットランチャーだ。オペレーターはすばやく敵に照準を定め、ロケット砲を集中的に反射して走り去ることができるため、敵の反撃を受けにくい。
誘導ミサイルの最大射程距離は約300キロで、海上の標的に対する実験にも成功した。米軍はアフガニスタンでの戦争やIS(イスラム国)と戦うイラク軍、シリアでISと戦うクルド人部隊の支援などにもHIMARSを使用してきた。
SLAM-ERは、陸海の標的を約270キロの範囲で攻撃することができる長距離空対地誘導ミサイル。すでにアメリカ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコ、韓国の軍隊に配備されている。台湾が保有するロッキードP-3オリオン海上監視機は、SLAM-ERを発射できる。
外部センサーポッドは、リアルタイムで画像とデータを地上管制局に転送する装置。台湾が保有するアメリカ製F-16戦闘機に取り付ければ、台湾軍は進行中の中国軍の動きを高画質の画像で確認することができる。
トランプ政権は今年8月、新型F-16戦闘機66機を台湾に売却する80億ドルの契約を承認した。台湾はすでにF-16戦闘機約140機を保有している。共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙、環球時報は、この売却計画を「新たなアメリカによる挑発であり、台湾問題における越えてはならない一線を踏み越えようとし、さらなる対立を危険にさらすものだ」と伝えた。
「対話では解決できない」
中国政府は、アメリカが地域の政治に干渉し、台湾を支援することによって戦争の危険にさらしていることを繰り返し非難してきた。中国共産党の国内の人権侵害や近隣諸国との領土紛争に対する懸念が高まるなか、米中政府間の非難の応酬は、新型コロナウイルス危機でますますとげとげしさを増している。
環球時報は11日の社説の中で、台湾政府を、「中国を封じ込めるためのアメリカの新たな政策に、全面的に足並みをそろえている」と批判し、蔡英文総統は「中国に対して徹底的に敵意を向けている。この問題は、もはや対話では解決できない。悪意ある勢力は、軍事的手段によって鎮圧される必要があるかもしれない」と述べた。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら