最新記事

日韓関係

日韓のビジネス往来再開したが、関係改善や経済の活性化には繋がらない

2020年10月13日(火)15時00分
佐々木和義

日韓関係の改善につながると期待する声が上がったが......

日韓両政府がビジネス往来の再開で合意したことが報道されると、一部で1965年の日韓国交回復以後、最悪とも言われる日韓関係の改善につながると期待する声が上がったが、直後に打ち消され、改善には繋がらないという見方が広がった。

今年6月、康京和(カン・ギョンファ)韓国外交部長官は茂木敏充外相と行なった電話会談で、企業関係者の入国制限緩和を提案した際、茂木外相は時期尚早として拒絶した。その後、7月末から外交当局の担当者レベルでビジネス往来の再開に向けた協議がはじまったものの遅々として進まなかった。

また、文在寅大統領は8月15日の光復節の演説で日本に対話を求め、菅義偉首相の就任時にも対話を求める書簡を送ったが、日本政府が応じることはなかった。

20年9月10日、サムスン電子の李在鎔副会長が冨田浩司駐韓日本大使と会って、両国の経済や国際協力などについて意見を交わし、新規ビザの発給中断で企業人が抱えている困難などを説明した。

9月18日には韓国大手財閥GSグループの名誉会長で韓国全国経済人連合会の許昌秀(ホ・チャンス)会長が、菅義偉首相の就任を祝賀する書簡を送り、ビジネス目的の入国制限緩和を要請した。

日本政府は10月1日、台湾、香港、ベトナム、マレーシアなどからの入国制限を一部緩和した後、遅れて10月8日から韓国からの入国制限を緩和した。

菅義偉新政権が誕生したとき日韓関係の改善を期待する声が上がったが、朝鮮日報は9月18日、菅義偉新首相が就任後初の記者会見で韓国には言及せず、文在寅大統領が送った就任祝いの書簡にも菅政権は無反応だったと報じている。

韓国政府が慰安婦や旧半島出身労働者など歴史問題に固執して、関係修復の糸口が見えないなか、日本政府が韓国財界の要請に応じたと韓国メディアは評価している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トムソン・ロイター、第1四半期は予想上回る増収 A

ワールド

韓国、在外公館のテロ警戒レベル引き上げ 北朝鮮が攻

ビジネス

香港GDP、第1四半期は+2.7% 金融引き締め長

ビジネス

豪2位の年金基金、発電用石炭投資を縮小へ ネットゼ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中