イギリス版Go To Eatが「コロナ感染拡大の一因に」、英首相認める
人気を受けて独自で継続の店舗も
一方でリシ・スナク財務相は、ジョンソン首相のインタビューと同日に英タブロイド紙ザ・サンの単独インタビューに応じ、Eat Out Help Outキャンペーンを展開したことをまったく後悔していないと述べた。
同財務相はさらに、「雇用について私がかなり心配していた業界がある。200万人以上が働いている」と述べ、同キャンペーンが雇用を守った上、経済に弾みを付けたと強調したという。また、キャンペーンがもっとも活用された英南西部では、新型コロナウイルスの感染第2波が比較的緩いことを指摘した。
インディペンデントは、同キャンペーンが非常に効果的だったため、政府からの支援が終わっても、割引を続けている店舗もあるとしている。またスナク財務相の話として、同キャンペーンが新型コロナウイルス感染拡大の要因を作ったことを示す証拠はあまりないとも伝えている。
「キャンペーンの効果は限定的」英商工会議所調査
しかし、Eat Out Help Outキャンペーンが経済にもたらした効果について疑問の声も上がっている。英紙ガーディアン(10月1日付)は、英国商工会議所(BCC)が行った調査の結果として、同キャンペーンは接客業およびケータリング業への経済的な支援にはならなかったと報じた。
BCCが6410社を対象に四半期に1度行っている経済調査の中で、新型コロナウイルスやEat Out Help Outキャンペーンの影響について尋ねた。
調査結果によると、接客業およびケータリング業において、6~9月に売り上げが落ちたとする回答は66%に達し、全業界の平均46%と比べてかなり深刻な状況だったことが示された。BCCの広報担当者は、Eat Out Help Outキャンペーンからの恩恵は「ごく僅か」だったとしている。
BCCの経済担当責任者スレン・スルー氏は、売り上げが激減した前四半期と比べて、第3四半期では改善が見られたとしつつ、今後すぐにV字回復とはならないだろうとの見通しを述べた。新たな経済支援策として英国では、雇用を守ることを目的とした「冬季経済計画」が9月に発表されている。スルー氏はこれについて、短期的な刺激にしかならないとの見解を示し、より一層の支援が必要だと述べた。
なお、感染拡大を抑えるために、英国では現在も飲食店の営業時間は全国的に夜10時までとなっている。インディペンデントによると、Eat Out Help Outキャンペーンが終了してからは、局地的なロックダウンを実施している地域もある。
また、ガーディアン(10月4日付)は「リークされた文書」として、政府が3段階に分けたロックダウンを計画していると報じた。最悪のシナリオとなる「レベル3」となった場合、接客業や娯楽産業はすべて閉鎖となる他、いかなる状況においても同居世帯以外の人とは社会的に接触できないこと、外泊の制限、趣味の集まりの禁止などが挙げられ、これまで英国で行われたロックダウンとしてはもっとも厳格なものになる見込みだ。