最新記事

中台関係

台湾近くに極超音速ミサイル「東風17号」を配備した噂を否定しつつ中国紙が明かしたもっと大きな標的

China Media Plays Down Hypersonic Missile Deployment 'Speculations'

2020年10月21日(水)17時05分
ジョン・フェン

蘇はさらに、これらのミサイル兵器は、アメリカの軍事基地や空母打撃群を狙うために用いられるだろうと述べた。その目的は、台湾を包囲し、台湾政府を支援しようとするあらゆる米軍部隊に攻撃を加えることにある。

DF-17ミサイルは大気圏のなかで超音速滑空することで、弾道ミサイル防衛システムを回避する能力を持つといわれるが、「命中率は低い」と、蘇は指摘する。「米軍にとってやっかいな存在ではあるだろうが、アメリカは既に有効な対抗手段を用意しているだろう」と蘇は付け加えた。

蘇は自由時報に対し、SCMP記事の矛盾点についても指摘した。中国軍は既に自国の東海岸沿いに、台湾への主要な攻撃手段として短距離の「東風(DF)-15」ミサイルをすでに配備しているというのだ。

再統一は「時間の問題」?

「人民解放軍が台湾に対してDF-17を使いたいのなら、中国の中央に設置するだけでいい。中国軍がミサイルの配備場所として東海岸を選んだという事実は、彼らの標的は米軍だいう『明らかな』しるしだ」と、自由時報は書いている。なお同紙は、台湾独立を支持する立場をとっている。

蘇は最後に、台湾のミサイル早期警戒システムはDF-17の発射および大気圏上層への上昇を検知できるとし、その後は高高度防衛ミサイル(THAAD)システムが即座に迎撃できると述べた。米軍も人工衛星や偵察機を利用して、移動式のミサイル発射装置や固定式施設の場所を特定し、破壊できる能力を持つはずだという。

アメリカが11月に大統領選を控え、中国から台湾への軍事的圧力はますます高まっている。環球時報は、武力による再統一は今や、「いつ、どうやって」行われるかの問題だと述べた。「現在の状況に鑑みれば、『武力による再統一』にもはや是非はない。あとはいつどうして行うかの問題だ」

(翻訳:ガリレオ)

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中