最新記事

歴史問題

韓国ネット民、旭日旗めぐりなぜかフィリピンと対立し大炎上に

2020年9月28日(月)19時15分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

フィリピン系アメリカ人の人気インフルエンサー、ベラ・ポーチ氏のタトゥーを火種に韓国とフィリピンのネット民が論争の火蓋を切った。 채널A 뉴스 / YouTube

<赤と白のストライプを発端に誤解が誤解を呼び非難の応酬に>

日韓関係のいざこざといえば、歴史問題や竹島問題など様々なイシューが頭に浮かぶが、その中でも旭日旗問題はこれまでに何度も取り上げられてきた。

ところが、この旭日旗をめぐり日韓間ではなく、フィリピンと韓国のネット対立が始まり注目を浴びている。

今月5日、フィリピン系アメリカ人の人気インフルエンサーであるベラ・ポーチ氏が、自身のTikTokにダンス動画を配信した。彼女は、TikTokアカウントフォロワー数が2600万人を超え、インスタグラムも470万人以上のフォロワーがいる世界的人気者だ。ところが、この動画が韓国で物議を醸すこととなる。

1人ダンスを踊る彼女が左手を上げる動作をすると、その腕には心臓の絵と旭日旗を思わせる赤の放射線状の背景がデザインされたタトゥーが見える。韓国人が旭日旗に敏感に反応することはご存じの方も多いだろう。韓国のネットユーザーを中心にベラ・ポーチ氏への批判が始まった。

このダンス動画はすぐに削除され、騒ぎとなった翌日の6日には、ベラ・ポーチ氏のツイッターにて謝罪文が公表されている。彼女は、歴史的な意味を知らなかったこと、そしてそれを知った後は腕をカバーして隠していたこと。さらに、このタトゥーを消す施術を受ける日程を決めたことを告げ、韓国人に謝罪のコメントを書き込んだ。

本人は謝罪したものの......

このまま収束に向かうのかと思いきや、今度はコメント欄から彼女のフォロワーたちの対立が発生し、いつしか韓国vsフィリピンの構図となってしまった。

ベラ・ポーチ氏が反省し謝罪したにもかかわらず、韓国のネットユーザー達がコメント欄にベラ・ポーチ氏の容姿に対する誹謗中傷を書き込み、さらにはベラ氏だけでなくフィリピンという国やフィリピン人に対して「小さい国」「貧しい国」「学ぶことができない背低い人々」など人種差別とも取れる書き込みを投稿しだした。

これに激怒したフィリピンのネットユーザー達は、#CancelKorea (キャンセル韓国)
#ApologizeKorea(韓国謝罪しろ) #ApologizeToFilipinos(フィリピン人に謝罪しろ)などのハッシュタグ運動を開始し、ついには韓国のニュースなどに大きく報道されることとなった。

すると、今度はそれを見た韓国側がフィリピンの国旗を燃やし破る動画や、つばを吐きかける動画を製作しネットにアップロードし始めた。すると、フィリピン人もそれに対抗するように韓国の国旗を破ったり踏みつけたりする動画を投稿。お互いにどんどんエスカレートしてしまった。

9日には、ベラ・ポーチ氏が自身のツイッターでこの状況に対して「私を攻撃するのは構わないが、フィリピンの人たちを攻撃し馬鹿にするのは我慢できない」と発言し、さらに反感を買うこととなってしまった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザでの戦争犯罪

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、予

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッカーファンに...フセイン皇太子がインスタで披露
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 5
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 6
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中