尖閣問題への米軍介入で中国軍との戦闘は不可避──仮想「東シナ海戦争」の結末
SLAUGHTER IN THE EAST CHINA SEA
一方、米軍航空機は約2500キロ離れたグアムの基地か、航空機がひしめき、攻撃にさらされやすい沖縄の基地が拠点だ。ミサイルを発射した後、基地に戻って再装塡し、作戦地帯に戻るまでには何時間もかかる。
戦争行為は着実にエスカレートする。これこそ、今回のシミュレーションの最も重要な点だ。対立が始まった時点で、米中に互いを攻撃する意図はなかった。だがゲームが終わる頃には、両軍は艦船や航空機を破壊し合っていた。双方とも領有権争いを地域限定の対立にとどめるつもりだったのに、中国が沖縄にミサイルを発射する事態に発展した。
そこから浮かび上がるのは、ホワイトハウスの主にとって厄介な問いだ。トランプ政権は尖閣諸島の領有権問題で日本を支持すると言明しており、来年誕生する新たな米政権も同じ道を選ぶはずだ。
CNASの戦争ゲームが示すように、日中対立において日本の肩を持てば、米中の武力衝突というリスクが付きまとう。米中間で戦争行為が始まれば、歯止めがかけられないかもしれない。
<2020年9月22日号掲載>
【関連記事】中国とのライバル関係を深刻に扱うべきでない理由
【関連記事】中国は「第三次大戦を準備している」
9月29日号(9月23日発売)は「コロナで世界に貢献した グッドカンパニー50」特集。利益も上げる世界と日本の「良き企業」50社[PLUS]進撃のBTS