最新記事

人種問題

ファッション業界でも人種差別へボイコット 黒人デザイナー、イタリアの人種差別に挑む

2020年9月20日(日)14時27分

進歩の兆し

ジーンさんによると、イタリアでは人種問題が語られなかったり、否認されたりする年月が続いてきた。

彼女は今年公開した動画で、黒人やアジア系の出自を持つイタリア人女性たちが、日常的に浴びせられる人種差別的コメントを明らかにする様を紹介している。

ジーンさんは先月「イタリアで黒人の命は大事か」をスローガンに、同国ファッション業界の変革を訴える運動を開始した。

「組織図に黒人の子たちも入れて。肌の色はだれかを採用する決め手にはならないけれど、不採用の理由にもなり得ない」

「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ)」運動は、ファッション業界にも圧力をもたらしている。

有力ファッション雑誌ヴォーグの著名編集長は6月、黒人人材の昇進が不十分だったことを謝罪。フランスの化粧品大手ロレアルは同月、すべての白人は人種差別主義者という内容の発言をしたことで2017年に解雇していた、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの黒人のモデルを再雇用した。

ジーンさんによると、イタリアでも進歩の兆しが見られる。

米国で黒人男性ジョージ・フロイドさんが警察の暴行により死亡した事件を受け、「イタリアファッション界の重鎮らが、米国の理念に対して前例のない社会的連帯を示した」という。

「ファッション業界において、あらゆる肌の色を持つ女性および男性の声を増幅させていかなければならない」とジーンさんは語った。

(Sophie Davies記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア開発のコロナワクチン「スプートニクV」、ウイルスの有害な変異促す危険性
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・パンデミック後には大規模な騒乱が起こる
・ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死


20200922issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月22日号(9月15日発売)は「誤解だらけの米中新冷戦」特集。「金持ち」中国との対立はソ連との冷戦とは違う。米中関係史で読み解く新冷戦の本質。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

MS&AD傘下の三井住友とあいおい、合併検討 保険

ワールド

豪、ミサイル国産化計画に遅れも ウクライナ戦争や欧

ビジネス

新興AIの米コアウィーブ、IPO規模縮小 投資家は

ワールド

韓国史上最悪の山火事、消火作業続く 前日の小雨で進
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影された「謎の影」にSNS騒然...気になる正体は?
  • 2
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 3
    地中海は昔、海ではなかった...広大な塩原を「海」にした、たった一度の「大洪水」とは?
  • 4
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    「マンモスの毛」を持つマウスを見よ!絶滅種復活は…
  • 8
    「完全に破壊した」ウクライナ軍参謀本部、戦闘機で…
  • 9
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 10
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 3
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 4
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 8
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 9
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 10
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中