米大統領選、熱気に欠けるトランプ岩盤支持層 反対派は嫌悪で投票意欲向上
これまで共和党の大統領候補は、同党が高齢者や白人、キリスト教保守派、銃所有者など政治活動に熱心な有権者を取り込んできたため、投票率が低いケースで好成績を収めてきた、というのが過去の歴史だった。
もちろん、投票日が近付けば、トランプ氏の岩盤支持層がもっと活気づく可能性は大いにあるだろう。8月の調査によると、まだ態度を決めていない非大卒白人が最大で2割存在している。16年の選挙では、トランプ氏に投票した人のおよそ8人に1人は、選挙戦最後の1週間に候補者を選んだという。
思わしくない白人からの評価
米国はマイノリティーの人口増加が続いているが、依然として選挙を支配しているのは白人だ。16年時点では、白人は全人口の6割にとどまったにもかかわらず、有権者に占める割合は75%近くに上った。
だからトランプ氏にとって白人の意見は重い。実際、就任以降に同氏が力を入れてきたのは反移民政策で、白人が「逆差別」を受けているとの不満にも共感を示している。人種差別抗議デモ参加者を「悪党」と呼び、つい最近はウィスコンシン州で「黒人の命は大事」運動に加わっていた2人を射殺して訴追された白人の男を擁護するような発言もした。
ロイター/イプソス調査によると、8月時点で、非大卒白人の意識を見ると、「米国は悪い方に向かっている」が61%、「米経済が悪化方向」が53%、新型コロナウイルスのパンデミックに懸念を示したのが70%超で、トランプ氏のコロナ危機対応を評価したのは48%にとどまった。
大卒白人は、バイデン氏支持が48%でトランプ氏支持は40%。16年時点のクリントン氏支持とトランプ氏支持の差が2%ポイントしかなかったのと比べ、差は拡大している。
トランプ氏選対本部の広報担当者は、陣営側の調査をもとに、全ての激戦州でトランプ氏がバイデン氏に対し互角か優勢に戦いを進めているという結果になっていると話す。
「支持者の間にはトランプ氏に投票しようとの熱気が広がっている。実際にはごく少数の民主党員だけに好かれているバイデン氏とは違う」と強気の見方を維持している。
ただ複数のメディアや大学の調査では、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニア、フロリダ、アリゾナなどほとんどの激戦州でバイデン氏の支持率がトランプ氏を少なくとも数ポイント上回っている。
トランプ氏は具体的な根拠なしに不正が増えると主張し、有権者に郵便投票をしないよう呼び掛けている。しかし、これは裏目に出かねない。投票率が高い方がトランプ氏には有利だというデータもあるからだ。
(Chris Kahn記者)
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