極右、反ワクチン、家族連れが入り乱れる奇妙なドイツのコロナ対策抗議デモ
参加者の中には「右翼思想には反対だが、(市民生活への政府の干渉という)基本的人権の侵害には反対」などという人も多い。だが、そもそもドイツの規制はヨーロッパの他国に比べ、ゆるい方だ。マスク着用を怠った場合の罰金(50ユーロ)が導入されたのもつい最近のことだ。夏のバカンスをこよなく愛する欧州人たちの大移動と学校再開に伴い、いったん落ち着いていた感染状況が4月並みに戻っている今、むしろこの程度の規制で大丈夫なのか、とも思う。
加えて、反メルケル主義者、反ワクチン主義者、年老いたヒッピー風など......さまざな考えを持つ人々が雑多に集まった集団にニューヨークタイムズのオピニオン欄で疑問が呈されている。
米国の団体の参加も
今回のデモでは、反ワクチン運動を率いるロバート・F・ケネディ・ジュニア(ロバート・F・ケネディの息子)、米国で勢いを増す陰謀論グループQAnon(Qアノン)、シュトゥットガルトの反新型コロナ制限団体Querdenken 711など、組織だった参加者も目立った。
抗議者たちの大半は右翼の真の信者ではない、とベルリン工科大学の社会学者、サイモン・テウネは言う(ニューヨークタイムズ)。かといって、ロックダウンの影響で経済的に悪影響を受けた人々、例えばサービス業で職を失った人々が抗議に集まっているわけではない。「私の印象では、これらはおもに平均以上の教育を受けている中産階級の人々だ」とテウネは言う。右翼思想が通常低学歴層に多く見られるのと対照的だ。また、デモは統合には程遠く、「彼らには共通の目標が欠けている」とも指摘する。