北朝鮮の新たな女帝・金与正と、浮上した最高幹部「4人組」の運命
Kim’s Sister Rises to Number Two
また報道によれば、閉鎖的な北朝鮮経済については、朴奉珠(パク・ポンジュ)国務委員会副委員長と、首相に新任した金徳訓(キム・ドクフン)がより大きな発言権を与えられた。
過去に首相を2度務めた朴は、崔竜海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員会委員長に次ぐ序列3位とされる。金銭をめぐる不正行為や、金正恩の処刑された叔父、張成沢(チャン・ソンテク)との親密な関係を理由に懲戒処分を受けたと噂されたこともあるものの、産業界や労働部門で長らく経験を積んできた人物だ。
国家的重要度の高い職場の現地視察など、今や朴は目に見える役割を担っている。8月25日には「共同現地指導」を行うべく、石炭ガス化事業であるC1化学工業の建設現場を金徳訓と訪れた。
議会予算の監督を担当したこともある金徳訓の主な役目は、内閣の長として経済を運営することだ。最高意思決定機関である朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会の一員にも選ばれ、朴、崔、李炳鉄(リ・ビョンチョル)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長、最高指導者の金と肩を並べることになった。
国家情報院の報告によれば、より広範な軍事権限を手にしたのが李と崔富日(チェ・ブイル)党中央委員会軍事部長だ。
近年の李の昇格は兵器実験の成功と密接な関係にあり、過去の重要な発射実験では金と抱き合う李の姿が確認されている。北朝鮮が2018年初めに韓国やアメリカとの交渉路線に舵を切って以来、元空軍司令官の李の存在感は薄くなる一方だったが、朝鮮半島の緊張状態復活で第一線に復帰し、その勲章の数はさらに増えたように見受けられる。
別の強みもあるようだ。大方の見方では、李は金の妻、李雪主(リ・ソルジュ)の父親か祖父、またはおじだという。一方、北朝鮮の警察を管轄する社会安全省(旧・人民保安省)を率いた崔富日は、金のバスケコーチだったと報じられている。
韓国の国家情報院が非公開で行った報告には、韓国の各党議員が参加した。彼らはメディアに対して、あらゆる点から考えて金は今も絶対権力者として盤石な地位を保ち、正式な後継者の存在は確認されていないと強調している。
父とも祖父とも違う男
36歳の若き指導者である金は珍しいことに、「予想外かつ不可避な課題」に直面し、現行の経済5カ年戦略には「至らない点」があると、8月19日に開催された党中央委員会総会の演説で認めた。
しかし、この率直な姿勢は金への個人崇拝の衰えを示す兆候ではなく、妹をはじめとする最高幹部らに権力を譲る意向の表れですらない。