最新記事

米中対立

米国務省、中国人ビザ1000件以上を取り消し 中国軍との関係指摘

2020年9月10日(木)10時42分

米国務省の報道官は9日、中国人に発給した1000件以上の査証(ビザ)を取り消したと明らかにした。中国軍と関係があるとみられる中国からの学生や研究者の入国を阻止する取り組みの一環。北京で2018年4月撮影(2020年 ロイター/Jason Lee)

国務省の報道官は9日、中国人に発給した1000件以上の査証(ビザ)を取り消したと明らかにした。中国軍と関係があるとみられる中国からの学生や研究者の入国を阻止する取り組みの一環。

トランプ大統領は5月29日に出した布告で、米国の重要な技術や知的財産を取得する中国政府の活動に使われている特定の中国人の学生と研究者の入国を制限した。

国務省は布告の適用を6月1日に開始。

報道官はロイター宛ての電子メールで「国務省は9月8日時点までに、大統領布告に該当し、ビザを持つ資格がないと判明した中国人の1000件以上のビザを取り消した」とした。

報道官は、同省にはビザ取り消しに関して広範な権限があり、特定のビザ保有者について入国が認められない、あるいは他の理由でビザの資格がないとの情報が出れば、その権限を行使すると説明した。

取り消しの該当者の詳細は明らかにしなかった。

米国土安全保障省(DHS)のチャド・ウルフ長官代行は同日、一部の中国人の大学院生と研究者へのビザ発給を停止すると発表した。機密性の高い研究の盗用を防ぐためという。

米国の大学に通う一部の中国人学生はこの日、ビザ取り消しを伝える電子メールを在中国米大使館または米領事館から受け取ったと明らかにした。

米教育機関には中国人約36万人が在学しており、授業料などによる経済活動は年間140億ドル相当に上るとされている。米政府の当局者らは、ビザ取り消しの対象はそのほんの一部に過ぎないとしている。

国務省報道官は「中国共産党の軍事的優位性目標の推進に関係のない、中国からの正当な学生や学者は引き続き歓迎する」とした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国・三峡ダムに過去最大の水量流入、いまダムはどうなっている?
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路
・世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ


20200915issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月15日号(9月8日発売)は「米大統領選2020:トランプの勝算 バイデンの誤算」特集。勝敗を分けるポイントは何か。コロナ、BLM、浮動票......でトランプの再選確率を探る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中