最新記事

ベラルーシ

ロシア、ベラルーシに予備警察隊設置 プーチン「混乱が制御不能にならない限り動員せず」

2020年8月28日(金)10時18分

ロシアのプーチン大統領は27日、ベラルーシのルカシェンコ大統領支援に向けロシア政府は予備警察隊を設置したが、現地の混乱が制御不能にならない限り動員されないと述べた。サンクトペテルブルクで7月代表撮影(2020年 ロイター)

ロシアのプーチン大統領は27日、ベラルーシのルカシェンコ大統領支援に向けロシア政府は予備警察隊を設置したが、現地の混乱が制御不能にならない限り動員されないと述べた。インタファクス通信が伝えた。

またRIA通信は、プーチン氏がベラルーシへのロシア軍動員は当面必要ないと語ったと報じた。ロシア政府は事態が正常化しつつあるとみているという。

ベラルーシは旧ソ連構成国。プーチン氏は「ロシアにはベラルーシへの義務があり、ルカシェンコ氏が提示した問題は、われわれが必要な支援を提供するかどうかだ」と指摘。

「私はロシアが全ての義務を果たすと伝えた。ルカシェンコ氏は予備警察隊の設置を求め、私はそれを実行した。しかし、状況が制御不能にならない限り、これを使用しないことでも合意した」と語った。

プーチン大統領がこれまでになく明確にベラルーシ問題に武力で対応する用意があると示したことを受け、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるポーランドは強く反発。モラヴィエツキ首相は「ロシアに対し、『秩序の保全』という口実の下、ベラルーシに軍事介入を行う計画を直ちに撤回することを呼び掛ける」と英語でツイッターに投稿した。

ベラルーシではこの日、首都ミンスク中心部で反政権デモの取材の準備をしていた約20人の記者の身柄を警察が拘束。ベラルーシ内務省はその後、有効な記者証を保持しているか確認するために警察署に移送したとし、正式な記者証を保持していれば解放するとした。

プーチン大統領が示した立場にはベラルーシの反政権派も反発。ルカシェンコ政権との対話を目指して設立された「調整評議会」は、「国際法に違反する」との見解を示した。

ベラルーシ問題を巡りロシアと西側諸国との綱引きが激しくなる中でも、西側諸国はロシアによる軍事介入を触発しないよう慎重に対応している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・韓国、新型コロナ第2波突入 大規模クラスターの元凶「サラン第一教会」とは何者か
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


20200901issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中