最新記事

米大統領選

トランプの岩盤支持層「白人キリスト教福音派」もトランプ離れ

RNC Speakers Reach for God; Trump's Support Slips among White Evangelicals

2020年8月26日(水)19時00分
ラムジー・タッチベリー

「トランプにとってアメリカのためのビジョンは、礼拝のために教会を訪れることを恥ずかしいと思わず、信仰を表明しても非難されない国にすることだ」と、語るのは、ミズーリ州の男性マーク・マクロスキー。彼は妻と共に、非武装のBLM(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大事)運動のデモ参加者に銃を向けた罪で起訴された。

保守系の若者のグループ「ターニングポイントUSA」の26歳のリーダー、チャーリー・カークは、「トランプは、私たちの生活様式、地域、学校、教会、価値観を破壊しようとする暴徒から、私たちの家族、つまり愛する人々を守るために選ばれた」と語った。

「トランプ大統領のアメリカでは、国民は祈りのためにひざまずき、星条旗のために立つ」と、現在トランプ陣営の関係者でドナルト・ジュニアと交際している元FOXニュース司会者キンバリー・ギルフォイルは言う。

白人福音派に対するトランプの支配力が衰え始めたのは、3月の新型コロナウイルスの流行以降だ。それ以来、トランプは宗教問題に焦点を移した。歴史的な教会の前で聖書を掲げた写真を撮影するために、ホワイトハウスの前で平和的に活動していたBLM運動のデモ隊を排除したのもその一例だ。

トランプはまた、感染防止のための自宅待機や休業が続く中、医学の専門家や当局者の助言に反して、教会の再開を認めるよう州に働きかけている。

この世の終わりから救われたい人々

だが、いくら世論調査の数字が悪くなろうと、実際には何も変わらない可能性が高い、と南カリフォルニア大学宗教市民文化センターのリチャード・フローリー専務理事は言う。なぜなら、この手の有権者は、何があっても共和党に投票する可能性が高いからだ。

「福音派が民主党候補に投票するなんて、自然に反している」と、フローリーは言った。「結局のところ、彼らはトランプを支えるだろう。自分たちが聞きたいことを言ってくれるからだ。恐怖はアメリカの福音派の深い部分に訴える。なぜなら彼らは、この世は終わる、我々には救いが必要だ、と考えているからだ」

トランプは2016年大統領選で最終的に白人福音派の81%を獲得したが、選挙前までの白人福音派の支持率は20%ポイントも低かった。また6月のピュー・リサーチの調査によると、白人福音派のトランプ支持率は72%に低下したが、トランプに投票するという人は82%に上っている。

トランプは8月初めにイスラエルとアラブ首長国連邦の歴史的な国交正常化合意を発表した。おかげで、旧約聖書の一節を「神がイスラエルをユダヤ人に与えた」と解釈している白人福音派のトランプへの支持率は、わずかに上がるかもしれない。

フローリーの結論はこうだ。福音派の「一部は(トランプ支持から)脱落するかもしれない」が、「大きな変化はないと思う」。

(翻訳:栗原紀子)

【話題の記事】
・米ウィスコンシン州、警官が黒人男性に発砲し重体 抗議活動で外出禁止令
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?


20200901issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪首相、米相互関税に「友好国の行為でない」 報復措

ビジネス

国外初の中国グリーン債発行に強い需要、60億元に応

ビジネス

トランプ関税で影響の車両に「輸入手数料」、独VWが

ワールド

米関税「極めて残念」と石破首相、トランプ大統領に働
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中