ナワリヌイ毒物中毒にロシア「毒が入ったのはドイツに移送中」と示唆
Russia Media Spreads Theory Navalny Was Poisoned During Flight to Germany
ロシアの医師たちがナワリヌイの毒物症状を診断できなかったとなれば、ロシア政府及び診察にあたったオムスクの病院にとっては、対外的なイメージの失墜につながる。病院は、プーチン政権とぐるになってナワリヌイの病状の深刻さを過小評価したとの批判に直面するだろう。
オムスクの病院の内科副部長を務めるアナトリー・カリニチェンコはタス通信に対し、オムスクとベルリンでそれぞれ実施された検査の結果に相違がある理由について「まったくわからない」と述べ、調査が行われていることを明らかにした。オムスクの病院はドイツの医師団に対し、ナワリヌイの検査試料の提供まで申し出ている。
イギリスの実業家ビル・ブラウダーは、モルチャノフの主張を否定し、「まったくおかしな話だ」とツイートした。ブラウダーは、ロシア政府高官の汚職を追求していた内部告発者が獄中死した事件をきっかけにして、アメリカで2012年に制定されたマグニツキー法(人権抑圧に関係した他国の高官などについて、資産凍結などを行うことを定めた法)の制定に尽力した人物だ。
またかつてロシア駐在アメリカ大使を務めたマイケル・マクフォールは、「ナワリヌイの病状について嘘をついた」として、オムスクのロシア人医師たちを糾弾する。
神経剤だった可能性?
「虚偽の報告をするようにとの命令が、ロシア政府からきたと言われている。ドイツの医師たちは、ナワリヌイが毒を盛られたと言っている。ロシアが新型コロナウイルスのワクチンが完成したと偽りの主張をしていることも忘れてはならない。信用せず、すべてを検証せよ」と、マクフォールはツイートした。
化学・生物兵器の専門家、ヘイミッシュ・デブレットン=ゴードンは英ガーディアン紙の取材に対し、ナワリヌイは神経剤による攻撃を受けた可能性があると指摘した。「(症状の)重さを見れば、どれくらいの量の毒物にさらされたのかがわかる。ロシア政府を痛烈に批判していた人物が、このような形で急に体調を悪化させるのは、少々疑わしい話だ」
8月25日、ロシア政府の報道官ドミトリー・ペスコフは、犯罪捜査を開始するのに足る十分な証拠はないと述べた。
「捜査を行うには理由が必要だ。今のところ、患者は昏睡状態にあるというのが我々の理解だ」とペスコフは述べたと、タス通信は伝えている。さらにペスコフは、ナワリヌイの命を狙う計画があったとの主張について、「根拠のない雑音に過ぎない」と一蹴した。
(翻訳:ガリレオ)
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