最新記事

2020米大統領選

トランプはもう負けている?共和党大会

The Republican National Convention Is Already Over

2020年8月25日(火)19時10分
マイケル・ハーシュ

民主党大会では、3人の歴代大統領(バラク・オバマ、ビル・クリントンとビル・カーター)、共和党の元国務長官(コリン・パウエル)や元オハイオ州知事(ジョン・ケーシック)といった錚々たるメンバーだったが、共和党大会での演説が予定されているのはトランプの家族、それにオハイオ州選出のジム・ジョーダン下院議員のような、より「小物の」トランプ支持者だ。ジョーダンは昨年の弾劾公聴会の際、トランプを猛烈に擁護した人物として知られている。注目すべき「著名人」としては上院唯一の共和党黒人議員であるティム・スコット上院議員と、ニッキー・ヘイリー前国連大使。民主党を「過激主義者」に見せるためのさらなる試みとして、6月下旬にセントルイスの自宅前を通る「ブラック・ライブス・マター(BLM:黒人の命は大切)」運動のデモ隊に銃を向けた白人カップル、マーク・マクロスキーと妻パトリシアもリストに含まれている。

トランプの成人した子ども全員も演説を予定。またマイク・ポンペオ国務長官も、公務と政治を混同していると物議を醸しながら外遊先のイスラエルから演説を行う予定だ。

顔ぶれが取り巻きだらけだから、演説の中身も客観性を欠いている。演説者の何人かは、前代未聞の新型コロナウイルス危機からアメリカを守るためトランプは迅速に対応したと言った。だが実際は、アメリカは世界最大の感染国だ。アメリカの人口は世界のわずか4%に過ぎないが、感染者数は世界の4分の1、死者数は22%に達している。事実に基づいたコミュニケーションでは世界最低。コロナ対応が大統領選の主要な論点になるのなら、そしてもし事実が評価基準となるのなら、トランプの失敗は明らかなのだが。

From Foreign Policy Magazine

<参考記事>アメリカ大統領選挙の一大イベント「党大会」 最終盤戦へ号砲
<参考記事>トランプの元側近で極右のバノン、「壁」建設資金の私的流用容疑で逮捕


【話題の記事】
12歳の少年が6歳の妹をレイプ「ゲームと同じにしたかった」
コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
異例の熱波と水不足が続くインドで、女性が水を飲まない理由が悲しすぎる
介護施設で寝たきりの女性を妊娠させた看護師の男を逮捕

20200901issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランの核兵器保有決して容認せず、「最も破壊的な勢

ビジネス

トランプ氏、利下げ再要求 実質的に全ての物価が下落

ワールド

中国・ブラジル首脳、自由貿易重視で一致 北京で会談

ワールド

トランプ氏、対シリア制裁解除と表明 暫定大統領と1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 6
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中