ベラルーシの不正選挙抗議デモ止まず プーチンにも不安材料となる可能性
ベラルーシで進行中の大規模な不正選挙抗議とルカシェンコ大統領退陣を求めるデモは、同国を勢力圏にとどめておきたいロシアのプーチン大統領にとって外交政策上の試練だ。2019年6月、ベラルーシ・ミンスクで撮影(2020年 ロイター/Vasily Fedosenko)
ベラルーシで進行中の大規模な不正選挙抗議とルカシェンコ大統領退陣を求めるデモは、同国を勢力圏にとどめておきたいロシアのプーチン大統領にとって外交政策上の試練だ。ロシア国内でも反政府派が勢い付いており、ロシアの内政問題に転じる能性もある。
9日実施の大統領選でルカシェンコ氏の圧勝が発表されて以来、ベラルーシでは選挙の不正への抗議活動が続く。
この動きは、ロシアの政治にも影響を及ぼしている。
ロシア極東のハバロフスクでは、プーチン大統領が地元の政治危機への対処を誤ったとして、プーチン政権に反発する人々が6週連続でデモを実施中。最近では「ベラルーシよ、永遠に」と支持の合言葉を叫び、西に9000キロメートル離れたベラルーシのデモにエールを送り始めた。
ハバロフスクのデモは期間の長さ、規模の大きさともにロシアでは異例だ。
「ベラルーシよ、ハバロフスクは君たちと共にある」と手書きされたプラカードを掲げる男性は、テレビ番組の取材に対し、ベラルーシ国民もロシア国民も不公正な政治システムに我慢できなくなっていると指摘。「自分はベラルーシとハバロフスクに共通点を感じる」と話した。それは単にデモを行っているということではなく、同じ目的、つまり「正直な選挙に票を投じて参加する権利」を求めて団結していることだという。
ロシアの野党有力指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏の支持者らも、ベラルーシの動向を注視していると話す。いずれロシアで同様の事態が起こった場合に備え、学びを得るためだ。
ベラルーシは、旧ソ連諸国の中で文化的、政治的、経済的にロシアと最も密接に結びついている国だ。両国は「連合国家」を目指す条約に調印しており、国旗は赤をあしらう旧ソ連スタイルだ。
ただ、プーチン氏はルカシェンコ氏とは別の存在で、近い将来にプーチン氏の支配体制が深刻に脅かされる兆しもない。それでも両国の関係の緊密さや、言語が共通している、つまりベラルーシもロシア語を公用語とすることから、ベラルーシの動向は必然的にロシア自身の政治情勢に影響し始めている。
カーネギー・モスクワ・センターのシニアフェロー、アンドレイ・コレスニコフ氏は、ロシアはベラルーシよりはるかに規模が大きく、社会的に民族などがもっと分かれている分断された国であるため、今すぐには、ベラルーシと同じことが起こる可能性は乏しいと言う。