中国ステルス機2機が中印国境に到着、空中戦準備の可能性も
China Jets Head to Air Base Near Indian Border, Standoff in Fourth Month
中国人民解放軍空軍のJ-20ステルス戦闘機(2018年、広東省の珠海航空ショーで) China Stringer Network-REUTERS
<6月に半世紀ぶりの武力衝突で死者を出した中印が、今度は制空権を握る戦いか>
中印国境をめぐる対立が4カ月目に入る中、中国軍のステルス戦闘機2機が、インドとの国境近くの空軍基地に配備されたことがわかった。
中国人民解放軍空軍に所属する2機の「J-20」ステルス戦闘機が駐機しているのが、新疆ウイグル自治区のホータン空軍基地を撮影した商業衛星画像で確認された。中国の複数のソーシャルメディアユーザーが画像をシェアしたことから明らかになったものだ。
2 x Chengdu J-20 stealth fighters were spotted at #Hotan airbase recently, this as the #IndiaChinaFaceOff continues
— d-atis (@detresfa_) August 17, 2020
-- image via chinese social media pic.twitter.com/RSC4khbjaQ
このステルス戦闘機の到着は、中国とインドが領有権を争うヒマラヤ山脈地帯のラダック地域をめぐる緊張が高まる中での、最新の動きだ。ラダックはインドが実効支配する地域で、1962年の中印国境紛争後に外交交渉によって設定された非公式の停戦ラインである実効支配線(LAC)に接している。この境界線はラダックを、中国が支配するチベット自治区と分けるもので、現在進行中の中印国境をめぐる対立の一部だ。
中国軍とインド軍は6月15日、ラダックのガルワン渓谷で衝突。インド軍の兵士が20名死亡、中国側にも複数の人的被害が出た。LACで緊張が高まるのは初めてではないが、今回の衝突は、1967年以降では初めて、中印国境紛争で兵士に死者が出た特筆すべき事例だ。
インド側は仏戦闘機を配備
紛争対象のこの地域は、ヒマラヤ山脈地帯にある標高4200メートルほどの高地で、ほとんど人は住んでいない。中印両軍の兵士は、この地域では銃の携帯を禁じられているため、武力衝突は至近距離での接近戦となったと、ニューヨーク・タイムズは報じた。
今回ステルス戦闘機が到着したホータンは、ラダックから320キロメートルほどしか離れていない。今回の動きから見ると中国空軍は、この地域の制空権を中印どちらが握るかをめぐる、地上戦とは別の戦いに向けて準備を進めている可能性がある。
7月末には、インド空軍が新たに導入したフランス製の戦闘機ラファールのうち5機が、ラダックから885キロほどの距離にあるアンバーラー空軍基地に送り込まれた。元インド空軍大将のB・S・ダノアは、ラファールの実力を大いに称賛し、中国のJ-20ステルス戦闘機ではとてもかなわないはずだと豪語した。ヒンドゥスタン・タイムズにも「ラファールは形勢を一変させる切り札だ」と述べている。
こうしたインド側の主張に対し、中国の軍事専門家は同国の国営メディア、環球時報英語版の記事で、J-20は「ラファールよりもはるかに優れている」と反論した。
<参考記事>「インドと戦う用意ある」中国が中印国境で実弾演習
<参考記事>核弾頭計470発、反目し合う中国とインドを待つ最悪のシナリオ