コロナ・熱中症対策両立へ 売れ行き好調、扇風機付き上着
新型コロナウイルス感染防止のためにマスク着用は必須だが、猛暑による熱中症のリスク低減とどう両立させるか、製造現場では工夫を凝らして対策を強化している。写真は休憩をとるマレリのスタッフ。7月30日撮影(2020年 ロイター/Naomi Tajitsu)
新型コロナウイルス感染防止のためにマスク着用は必須だが、猛暑による熱中症のリスク低減とどう両立させるか、製造現場では工夫を凝らして対策を強化している。暑さ対策がますます重要となる中、小型扇風機(ファン)付き上着は従来使用されてきた「現場」を飛び出し、日常生活にも広がり始めている対策商品で、今後の市場拡大が期待される。
感染と熱中症の予防、現場で活躍のファン付きベスト
自動車部品大手マレリ(旧カルソニックカンセイ、さいたま市)では、5月と7月に日産自動車の追浜工場内で働いていた従業員2人の新型コロナ感染が確認され、感染防止対策の工夫を続けてきた。
夏場になり新たにそこに加わったのが、熱中症対策だ。感染と熱中症の予防を同時に行うべく、現在、群馬工場では冷水機の使用を禁止し、小型冷蔵庫を各所に設置。冷蔵庫から自由に取り出せるペットボトルの麦茶を従業員1人につき1日2本、水着の素材でできた蒸れない高機能マスクを配るなどしている。
暑い場所で働く従業員にはファン付きベストの着用も推進している。同工場では、ほこりが舞い上がるためスポットクーラーが使えない工程で働く従業員、屋外でフォークリフトを運転する物流作業員、壁面が約65度の高温になる炉のそばを通って治具を運ぶ従業員らが、ファン付きベストに保冷剤を入れて熱中症を防いでいる。
熱中症になりやすい職場といえば屋外の建設現場が多いが、昨今では製造現場でも患者が増加。厚生労働省によれば、2019年の職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は829人。このうち製造業は184人と、過去10年で最多だった建設業の153人を初めて上回った。
支店の従業員2人が感染した三菱ふそうトラック・バス(神奈川県川崎市)の川崎工場のラインでも、以前はマスクと顔全体を覆うフェイスシールドの両方を着用していたが、7月以降はマスクを外し、あごから口元にかけて覆うマウスガードのみに変更した。これまでは溶接・塗装工程のみの従業員が着ていたファン付きベストを、組み立て工程などの従業員にも着用させている。