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人種問題米ウィスコンシン州、抗議活動の銃撃で2人死亡 17歳少年を逮捕
警察による黒人男性銃撃をきっかけに3日連続で抗議活動が続いている米ウィスコンシン州のケノーシャで25日遅くと26日未明に銃撃があり、少なくとも1人が死亡、2人が負傷した。ケノーシャで25日撮影(2020年 ロイター/BRENDAN MCDERMID)
警官による黒人男性への発砲をきっかけに3日連続で抗議活動が続いている米ウィスコンシン州のケノーシャで25日夜から翌未明にかけて銃撃があり、現地警察によると2人が死亡、1人が負傷した。司法当局によると、17歳の少年が殺人の容疑で逮捕・起訴された。
シカゴの北に位置するケノーシャでは、23日に黒人男性のジェイコブ・ブレークさんが警官に背後から至近距離で複数回撃たれて負傷する事件が起き、人種差別や警察の過剰な行為に対する抗議活動が続いている。
これまでに放火や破壊行為が起きているが、25日夜は、地元商店を警備していると主張する白人中心の武装した自警団とデモ隊が衝突した。
裁判所の資料によると、逮捕・起訴されたのはイリノイ州の17歳少年で、容疑は故意の殺人に適用する第1級殺人。
ソーシャルメディアに投稿された動画によると、ライフルを手にして道路を走る男を群衆が追跡し、群衆の一部はこの男が別の男性を銃で撃ったと叫んでいる。男が道路で転倒した後、1人の追跡者が男を蹴り、別の追跡者が男のライフルをつかもうとすると、男は複数回発砲。男性1人が上半身を撃たれて倒れ、別の男性1人が腕を撃たれたもようだ。
発砲後に群衆が分散すると、男は両手を挙げてライフルを胸に下げた状態で路上を歩き続け、複数のパトカーが男を呼び止めることなく通り過ぎる様子が映っている。
当局はライフルを持った動画の男が、逮捕された17歳の少年だとみているもようだ。
地元警察の声明によると、負傷者1人は重傷で病院に運ばれたが、命はとりとめたとみられる。
容疑者は自身のフェイスブックのページに、別の若者とともにライフルを持って写っている写真を載せ、警察を支持する「Blue Lives Matter」運動の印で写真を囲んでいた。このページはその後削除された。
ケノーシャ郡保安官は記者会見で、抗議デモへの対応で警察を支援する役に任じるようあるグループから求められていたことを明らかにした上で、このグループのメンバーが銃撃に関わった可能性があるとの見方を示した。保安官はグループの要請を断ったとしている。
フェイスブックは26日、地元の自警団を自称し、メンバーに街頭の警備を呼び掛けていた「ケノーシャ・ガード」のページを削除した。
トランプ大統領はツイッターへの投稿で、ウィスコンシン州のエバーズ知事が事態の収拾に向け、連邦治安要員受け入れに応じたと明らかにし、「連邦治安要員と州兵をケノーシャに派遣する。法と秩序を取り戻す!」と述べた。
エバーズ知事はトランプ大統領のコメントを確認していないが、投入可能な州兵の規模を500人に倍増させたと述べた。
民主党大統領候補のバイデン前副大統領は、ブレークさんの家族と話したとした上で、抗議活動での暴力行為を非難した。
*内容を追加しました。
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