比テロ組織が誘拐・海賊を再開か テロ専門家などシンポジウムで指摘
具体的な海賊情報をフィリピンが警告
マレーシア領ボルネオ島サバ州の「デイリー・エクスプレス」紙電子版は7月上旬にフィリピン海上保安当局からマレーシア当局に対して「サバ海やセレベス海において誘拐事案が発生する危険がある」との警告があった、と報じている。
またシンガポールの海上犯罪に関する情報センターも同じくフィリピン海上保安当局経由で7月2日に「アブ・サヤフ」の武装メンバー5人を乗せたスピードボートが「南シナ海などの周辺海域で活動している」という具体的な海賊に関する情報提供があったとしている。
こうした情報などを基にフィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポールの海軍、海上保安庁などの海上法執行当局は周辺海域での警戒監視活動を強化するとともに自国船籍の漁船や貨物船などに対して、誘拐や海賊に特段の注意を払うよう警告を発する状況となっている。
南シナ海は中国の一方的な権益主張による領有権争いが過熱しており、米やオーストラリアも巻き込んで「波高し」の状態が続いているが、フィリピン南部のインドネシア、マレーシアと繋がる海域も今後、「アブ・サヤフ」による誘拐や海賊行為再開により「危険な海」になる懸念が高まっている。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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