アメリカ猛攻──ファーウェイ排除は成功するか?
つまりEUを離脱したイギリスとしては、アメリカとの通商協定を結びたいという思惑があるようだ。
中国を選ぶかアメリカを選ぶかを天秤にかけた時に、アメリカを選んだ方が今は賢明だと考えたのだろう。何といっても中国は香港国家安全維持法を通してしまったのだから、ここはアメリカを選ぶしかない。
李嘉誠の存在も要注意
安全弁として作用しているのは香港の大富豪・李嘉誠の存在だ。
李嘉誠はそもそも、早くから「イギリスの半分を買っている」と言われている。イギリスの鉄道、通信、水道、電力供給、ガス流通などへの投資により、イギリスのガス供給市場の30%、通信市場の40%以上、電力流通市場の約25%を李嘉誠が支配している。そして通信において、李嘉誠はファーウェイを選んでいるのである。貧乏のどん底から這い上がってきた戦友のような感情を李嘉誠はファーウェイの任正非CEOに抱いているのだ。
今般も何やら怪しい動きを見せた。
今年7月23日夜、李嘉誠一族が所有する長実グループは、成都の「南城通匯」プロジェクトを総額約10億1200万米ドルで売却したのだと中国メディアが伝えている。それをどこに投資するのか、彼の今後の動きには注目した方がいい。
ファーウェイへの半導体提供ルートを断ち切ったアメリカ──背後には巨大な構想が
今年5月15日(アメリカ時間5月14 日)、世界最大の半導体ファウンドリ(受託して半導体チップを生産する工場)である台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.、台湾積体電路製造)が新たな生産拠点をアメリカのアリゾナ州に置くことを発表した。
トランプ政権はファーウェイへの輸出規制を強化すると発表したが、アメリカの要望どおりTSMCは、2020年9月以降はファーウェイに半導体を提供しないことになった。
同年5月20日に台湾の蔡英文総統の二期目の就任式があったが、彼女は就任演説で「今後4年間で台湾が向き合うのは、世界経済の劇的な変化とサプライチェーンが根本的に再構築されていく局面だ」と述べた。サプライチェーン再構築の中には、このTSMCがあり、それを念頭に置いていたと考えていいだろう。
トランプ政権は猛然と中国依存から脱却すべくサプライチェーンを切断しようとしている。
TSMCはファーウェイの子会社であるハイシリコンがデザインした半導体の製造を受託して、その製品をファーウェイに販売し、ファーウェイはそれを使って5G製品を生産している。