最新記事

統計

イギリス、新型コロナ死者統計に交通事故死なども...... 算出法見直しへ

2020年7月18日(土)12時45分

英国のハンコック保健相は、イングランドの新型コロナウイルスによる死者数の算出法を見直すよう指示したことが分かった。新型コロナ以外の要因による死者を含んでいる可能性があるという研究者の指摘を受けた。写真は6月22日、記者会見するハンコック保健相(2020年 ロイター/Andrew Parsons)

英国のハンコック保健相は、イングランドの新型コロナウイルスによる死者数の算出法を見直すよう指示した。新型コロナ以外の要因による死者を含んでいる可能性があるという研究者の指摘を受けた。

英国の新型コロナによる死者数は4万5000人を超え、被害が欧州で最も大きい。ただ政府は、新型コロナの死者数の報告方法は各国で異なるため、国同士の比較は誤解を招くと主張してきた。

イースト・アングリア大学とオックスフォード大学の研究者は、イングランド公衆衛生局が最新の死亡報告と陽性反応結果のデータベースを照合して新型コロナの死者数を算出しているため、陽性結果が出た人は誰でも新型コロナで死亡したと報告される可能性があると指摘した。

ジョンソン英首相は17日の記者会見で「ハンコック氏がイングランド公衆衛生局の統計を見直す」と述べた。

2人の研究者は「イングランドで誰も新型コロナ感染症から回復できない理由」と題したブログの投稿で、陽性結果が出た後に完治した患者は「3カ月後に心臓発作を起こしたりバスに引かれた」場合でも、新型コロナで死亡したと見なされると述べた。イングランドの死者数が日々大幅に変わる原因だとした。

英国のほかの地域ではこうした計算法を用いていない。スコットランドでは患者に陽性結果が出て28日経った後は、自動的に新型コロナによる死亡と報告されることはない。

英国家統計局によると、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の期間中、死者数は通常より6万4000人超多かった。多くの専門家は新型コロナの死者数よりもこの統計に注目している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・感染防止「総力挙げないとNYの二の舞」=東大・児玉氏
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・東京都、新型コロナ新規感染286人で過去最多を更新 「GoToトラベル」は東京除外で実施へ
・インドネシア、地元TV局スタッフが殴打・刺殺され遺体放置 謎だらけの事件にメディア騒然


20200721issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月21日号(7月14日発売)は「台湾の力量」特集。コロナ対策で世界を驚かせ、中国の圧力に孤軍奮闘。外交・ITで存在感を増す台湾の実力と展望は? PLUS デジタル担当大臣オードリー・タンの真価。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

自動車関税に伴う値上げ「全く気にしない」=トランプ

ビジネス

UBSグローバル、S&P500種の25年末目標を6

ワールド

トランプ氏、5月中旬にサウジ訪問を計画 2期目初の

ビジネス

日中韓貿易相会合、地域貿易の促進で合意 トランプ関
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中