WHOに絶縁状、トランプの短気が招く「世界公衆衛生危機」の悪夢
WHOとの「関係を終了」させるというトランプの発表には、そもそも曖昧な点が多い。政権内でも細部の方針がまだ固まっていない部分が大きいようだ。アメリカがWHOから正式に脱退するのかもはっきりしない。
これまでもトランプ政権はテドロスWHO事務局長に対して、新型コロナウイルス問題などで中国にもっと厳しい姿勢で臨むよう求め続けてきた。しかし、その圧力は実を結んでいない。
5月18日と19日にオンライン会議で行われたWHO年次総会でも、アメリカなどが主張した台湾のオブサーバー参加は実現しなかった。中国政府は、台湾の参加に一貫して反対してきた。
WHOとの「関係を終了」させるというトランプの突然の表明は、物事をアメリカの望みどおりに動かすために有効な一手になるのだろうか。
<2020年6月9日号掲載>
【参考記事】トランプ「WHO拠出金停止」、習近平「高笑い」──アフターコロナの世界新秩序を狙う中国
【参考記事】アメリカの無関心が招いた中国のWHO支配
2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル