最新記事

米朝関係

金正恩の標的はトランプとの交渉 韓国への挑発は奏功するか

2020年6月24日(水)12時59分

大統領選にらみ、金正恩は慎重姿勢

魏氏は「北朝鮮はそれまで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験など重大な挑発行動も辞さないとみられていたが、新型コロナとこれに続く米国内の政治状況金氏を踏まえ、金氏は新しい計算をしているように見える」と語った。

「トランプ氏がトラブルに見舞われている中で、(非核化に逆行する)ICBM発射などを行えばバイデン氏を利するだけだろうから、金氏は暫定策として短距離ミサイル発射に訴えた。そして今度は韓国を標的にしている」。

元外務次官の趙太庸(チョ・テヨン)氏によると、米大統領選でバイデン氏が勝つことになれば、金氏にとって、その後の交渉はずっと困難なものになる。バイデン氏はトランプ氏よりも原則にのっとった手法を取るだろうし、派手な首脳会談ショーではなく熟練した交渉団に権限を与えるだろうという。

一部の専門家によると、トランプ氏が大統領選で負ける可能性が強まってくれば、北朝鮮が再びICBM実験に回帰する可能性は捨てきれない。しかし、これは、制裁緩和に向けて北朝鮮政府のために国際社会に働き掛けてきた中国を動揺させるだろうという。

魏氏は「ICBM実験のような重大な挑発は裏目に出る恐れがある。だから金氏は米大統領選の11月までは強硬に出過ぎないようによくよく考えなければならないはずだ」と述べた。

Hyonhee Shin

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・スウェーデンが「集団免疫戦略」を後悔? 感染率、死亡率で世界最悪レベル
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・東京都、新型コロナウイルス新規感染31人を確認 6日連続で20人超え
・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義.


20200630issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月30日号(6月23日発売)は「中国マスク外交」特集。アメリカの隙を突いて世界で影響力を拡大。コロナ危機で焼け太りする中国の勝算と誤算は? 世界秩序の転換点になるのか?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請は1000件減の21.9万件、1

ワールド

グアテマラ、トランプ氏との関係構築へ 強制送還受け

ワールド

米が関係改善望むなら応じる用意、次期政権の出方次第

ワールド

ガザで報道車両に空爆、イスラエルは戦闘員標的と説明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 2
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3個分の軍艦島での「荒くれた心身を癒す」スナックに遊郭も
  • 3
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシアの都市カザンを自爆攻撃
  • 4
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 5
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 6
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命を…
  • 7
    「とても残念」な日本...クリスマスツリーに「星」を…
  • 8
    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …
  • 9
    日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落
  • 10
    滑走路でロシアの戦闘機「Su-30」が大炎上...走り去…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 7
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 8
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 9
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 10
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中