キスは1日1度だけ、ラブシーンはCGで? 「ウイズコロナ」の映画やドラマはこう変わる
撮影現場への移動手段も指定
その他の国では、どのような対応を取っているのだろうか? カンヌ映画祭の開催か中止かで大きく揺れたフランス映画界では、フランス労働組合と映画&視聴覚組合が、40ページに及ぶガイドラインを製作し、CCHCST(Central Committee for Hygiene、Security and Working Conditions in the Production of Films、Shorts and Commercials)に承認され政府労働部に提出されている。
特徴的なのは、撮影現場までの個人の移動手段の指定がされている点や、コロナウイルスに特化したカウンセラー、そしてすべての小物を消毒する補助を含む追加人力を雇うことが示されている。これにより、製作費予算は多少上がってしまうかもしれないが、スタッフキャストの安全と共に雇用の促進にもつながると好評だ。
セックスシーンはまさかのCGに
一方、映画の都アメリカ・ハリウッドのコロナ対策について、イギリスの日刊紙The Sunやエンターテイメント誌リストが、今月8日に興味深い内容を報じた。ハリウッドの映画編集者貿易協会による22ページのガイドラインによると、今後セックスシーンについては台本を書き直せる場合は修正し、そのシーンを削除してしまうか、もしくはCG映像を駆使してキャスト同士の接触を避けることと記載されているそうだ。今後はCGで作られたベッドシーンが主流になってしまうのだろうか。
これまで当たり前とされてきた働き方が、新型コロナウイルスのパンデミックによって大きく変化した。これからは、元の生活に戻るという感覚よりも、新しい図式に慣れていくと考えた方がよさそうだ。一方、作品を作る者たちは、感染対策の規制によって従来のような演出ができず、それでも妥協しないため試行錯誤の日々が続くだろう。撮影スタッフたちの新たな挑戦がこれから幕を開けようとしている。
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