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黒人男性ジョージ・フロイドの霊柩車に、警官がひざまずいて弔意を示す

Police Officers Kneeling as Hearse Carrying George Floyd's Body Arrives at Minneapolis Memorial Service

2020年6月5日(金)14時10分
ジェニー・フィンク

追悼式の会場から運び出されるジョージ・フロイドの棺 Eric Miller-REUTERS

<現場にいた警官4人全員が殺人で起訴されことで、司法上の「正義」は実現する見通しが付いたが......>

ミネソタ州ミネアポリスで4日、警官から暴行を受けて死亡した黒人男性ジョージ・フロイドの追悼式が行われ、市内を霊柩車で移動するフロイドの棺に向かって、路上で警官が跪いて弔意を示す姿が見られた。

フロイドは先月25日、ミネアポリス警察に偽札使用の容疑で逮捕されたが、その際に警官のデレク・ショービン(懲戒免職処分)から道路に倒れた状態で首を膝で押さえつけられ、その後死亡していた。フロイドが「息ができない」と訴える姿が動画で撮影されてソーシャルメディアで拡散されたことから、ミネアポリスだけでなく全米各地へと抗議デモが拡大した。またフロイドへの司法上の正義だけでなく、より広範な司法・警察改革を求める声も湧き上がっている。

追悼式は、ミネアポリス市内のノースセントラル大学で行われ、フロイドの家族や友人が出席した。式では黒人人権運動の指導者アル・シャープトン牧師が弔辞を述べ、「フロイド氏に起きたことは、アメリカで毎日起きている。教育や医療、生活のあらゆる場面で、だ。今こそ、ジョージの名の下に立ち上がり、私たちの首から膝をどけろと声を上げる時だ」と訴えた。

フロイドの棺を運んだ霊柩車が市内を移動した際には、ミネアポリス警察のメダリア・アラドンド署長ら警官2人が路上に跪いて弔意を示した。

(フロイドの棺を運ぶ霊柩車に跪くミネアポリス警察署長ら)

デモ隊と警官隊が睨み合って緊迫するなかでも、各地で警官が跪き、デモ隊への支持と連帯を示す場面が見られた。


今回の事件で、ショービンは当初、第3級殺人(過失致死に相当)の罪で起訴されていたが、その後より重い第2級殺人でも起訴された。また現場にいた他の3人の警官も、第2級殺人の教唆・幇助で起訴された。教唆・幇助でも、第2級殺人と同様に最大で禁錮40年の刑を言い渡される可能性がある。

「(犯行を)黙認し、制止しなかったことは、共謀とみなされる。そのレベルに違いはない」とアラドンド署長は話している。「フロイド氏は警察の拘束中に死亡したのだから、(現場にいた警官は)共謀罪にあたる」

第3級殺人と第2級殺人で起訴されたショービンはそれぞれの罪状で最大で禁錮25年と禁錮40年の刑を言い渡される可能性がある。ミネソタ州検察はより重い第2級殺人でも起訴した理由について「示された証拠から、さらに重い罪状が認められたため」と説明している。

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