最新記事

人種差別

黒人男性の遺体が吊るされて発見された事件でFBIが再調査、一方で3人目の遺体も発見 

FBI Reviewing Investigations of Recent Hangings as Third Man Found Dead

2020年6月17日(水)17時05分
スー・キム

ヒューストン警察はツイッターで以下のように述べている。「殺人課の刑事は、午前9時5分ごろにエラ大通りの2500街区で発見されたヒスパニックの成人男性の遺体について捜査を行っている。自殺であり、犯罪性はないとみられる。捜査チームは、ハリス郡の科学捜査研究所による検視結果を待っているところだ」

ヒューストン市警察のアート・アゼベド署長も、こうツイートしている。「検視局が、死亡した人物の身元を特定した。この人物はヒスパニックあるいは白人の男性で、家族によると以前から自殺願望があったという。犯罪行為をうかがわせる兆候は見つかっておらず、これまでに集められた証拠は、これが自殺であることを示している。捜査は今後も継続される」

カリフォルニア州で遺体が発見されたフラーに関しては、徹底的な真相解明を求める2件の署名活動が立ち上げられた。死亡時に24歳だったフラーは、パルムデール市役所の近くで死亡しているのが見つかったが、当初、その死はパルムデール市検視局によって「自殺とみられる」と結論づけられていた。2つの署名活動は、すでに合計50万件以上の署名を集めている。

自殺で片付けられないか心配

一方、38歳のハーシュはビクタービルで、市立図書館の近くにある木から吊された状態で死亡しているのが発見された。

「現場には、犯罪行為があったことを示唆するものはなかった。しかしながら、死因や死の状況についてはいまだに調査中だ」と、サンバーナディノ郡保安官事務所の広報担当者ジョディ・ミラーは述べている。

ハーシュの家族は声明を発表し、こう述べている。「私たちの兄弟であるマルコム・ハーシュは5月31日に亡くなりました。死因はいまだに家族に明かされていませんが、彼の死が自殺として片づけられるのではないかと、私たちは心配しています。6月1日午前に、彼の死を確認する知らせがあった際に、私たち家族はそう伝えられたからです」

これらの遺体は、アフリカ系アメリカ人ジョージ・フロイド(46)がミネアポリスの白人警官に拘束死させられたことに対し全世界で抗議活動が広がる中で発見されたこともあり、リンチ(私刑)ではないかという疑念を呼んでいる。

フロイドの死は、世界中で激しい怒りを引き起こしており、警察の暴力や人種差別に抗議する「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事)」運動が一段と激化している。

(翻訳:ガリレオ)


【話題の記事】
・「英王室はそれでも黒人プリンセスを認めない」
・女性の美を競う世界大会5大会すべてで黒人女性が優勝する時代に


20200623issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月23日号(6月16日発売)は「コロナ時代の個人情報」特集。各国で採用が進む「スマホで接触追跡・感染監視」システムの是非。第2波を防ぐため、プライバシーは諦めるべきなのか。コロナ危機はまだ終わっていない。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中