中国とインドが国境めぐって小競り合い、対立再燃に3つの要因
中印とも正面衝突は避けたい(デリーのインド兵) DANISH SIDDIQUI-REUTERS
<インド北部の係争地域で両国軍の兵士による衝突が発生し千人以上が負傷、国境問題ぶり返しの背景にあるのは>
中国とインドの長年に及ぶ国境問題が再燃している。5月にはインド北部ラダック地方の係争地域などで両国軍兵士の小競り合いが少なくとも2度発生し、100人以上が負傷。トランプ米大統領も「国境紛争」を仲裁する用意があるとツイートし大規模な武力衝突への懸念が高まった。
ぶり返しの背景にあると考えられる要因は3つある。1つは中国が新型コロナウイルスの感染拡大に乗じて世界で勢力拡大を狙っていること。最近の香港への締め付け強化にもつながる動きだ。
第2に、インドが国境地帯で滑走路や道路の建設を進め、軍備増強の布石としている動きが中国を刺激していること。第3に、長年にわたり国力が拮抗していたことから続いてきた「にらみ合いによる平和」が、中国の経済・軍事大国化で崩れてきていることだ。
両国政府は外交ルートを通じて事態の収束を図っており、最悪の事態は免れそうだ。しかし大局に変化はなく、火種はくすぶり続ける。
<本誌2020年6月9日号掲載>
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2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル