最新記事

アメリカ社会

米、新型コロナ感染第2波に警戒 トランプの選挙集会控えたオクラホマなど感染急増

2020年6月19日(金)17時33分

トランプ米大統領の選挙集会を週末に控えたオクラホマ州のほか、テキサス州、アリゾナ州などで新型コロナウイルスの新規感染者が急増している。写真は制限解除後のニューヨーク市イーストビレッジのバー。6月13日撮影(2020年 ロイター/Caitlin Ochs)

トランプ米大統領の選挙集会を週末に控えたオクラホマ州のほか、テキサス州、アリゾナ州などで新型コロナウイルスの新規感染者が急増している。

ここ2週間あまり、複数の州で感染が加速しており、米国全体でも1カ月以上減少傾向にあった感染者数が再び上昇に転じている。

オクラホマ州では17日の新規感染者が過去最多の259人を記録。フロリダ州では2600人超、アリゾナ州では1800人超に急増し、2州とも1日の新規感染者としては過去2番目に多い数字だった。

テキサス州も新規感染者が3100人と過去最多となった。

カリフォルニア州でも感染者は増加傾向にあり、ロサンゼルス郡は1日の新規感染者が2100人超と過去最多となった。

トランプ陣営がオクラホマ州タルサで20日夜に開く選挙集会は、新型コロナ流行に伴う全米のロックダウン以来、最大規模のイベントとなる。

トランプ陣営のアドバイザーらは、3カ月ぶりの選挙集会によって、トランプ氏への支持は再び押し上げられるとみる。全米と州の世論調査で、トランプ氏は大統領選で民主党候補指名が確実なバイデン前副大統領にリードを許している。

オクラホマ州保健当局は、トランプ氏の集会参加者に対し、到着前に新型コロナ検査を受け、集会の後に自己隔離を行い、再度検査を受けるよう要請。また、65歳以上の高齢者や合併症リスクの高い人には外出自粛を呼び掛けている。

ペンス副大統領は16日、集会参加者への健康リスクを踏まえ、屋外などへの会場の変更を検討していると表明。また、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で、メディアが連日報じている感染第2波を巡る騒ぎは「大げさだ」と主張した。

一方、バイデン氏は17日、トランプ大統領が新型コロナのパンデミック(世界的大流行)に屈し、米経済の回復を妨げかねない感染第2波への備えを怠っていると批判した。

新型コロナの新規感染が加速している大半の州で、新型コロナ感染症の入院者数も増加、もしくはこれまでの最多を記録している。新規感染者数と異なり、入院者数の増加は単に検査件数の増加と結び付けられない。

アリゾナ州では集中治療室(ICU)の占有率が83%と過去最高に達した。

フロリダとテキサス両州では、ロックダウン解除に伴い営業を再開したバーが感染急増の一因だとされる。

また、オレゴン州では教会の集会で200人以上が感染する集団感染が起きている。

一方、ニューヨーク州のクオモ知事は17日、新型コロナウイルス流行の震源地だった同州で感染者・死者がともに減少を続け、感染率が国内最低の水準まで改善したと発表した。状況の改善を踏まえ、ニューヨーク市が22日に経済再開の第2段階に移行する見通しとした。

米国の新型コロナ感染者は210万人超、死者は11万7000人を超え、感染者・死者数ともに世界で最多となっている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染41人 6月の感染合計440人に
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・感染者・死者ともにASEAN最悪に インドネシア、新型コロナ感染拡大しても規制緩和の愚策
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200623issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月23日号(6月16日発売)は「コロナ時代の個人情報」特集。各国で採用が進む「スマホで接触追跡・感染監視」システムの是非。第2波を防ぐため、プライバシーは諦めるべきなのか。コロナ危機はまだ終わっていない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ

ビジネス

テスラの中国生産車、3月販売は前年比11.5%減 

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)-ユニクロ、3月国内既存店

ワールド

ロシア、石油輸出施設の操業制限 ウクライナの攻撃で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中