最新記事

感染症

WHO、各国に新型コロナウイルス初期事例の調査要請 仏で昨年末の感染を確認

2020年5月6日(水)11時15分

世界保健機関(WHO)は5日、フランスで初めて新型コロナウイルスの感染者が出た時期が当初考えられていたよりも早い2019年12月だったとする報告について「驚きではない」と述べた。パリで撮影(2020年 ロイター/BENOIT TESSIER)

世界保健機関(WHO)は5日、フランスで初めて新型コロナウイルスの感染者が出た時期が当初考えられていたよりも早い2019年12月だったとする報告について「驚きではない」と述べた。初期の段階で感染者がいたかどうかを調査するように各国に要請した。

中国当局が新型コロナ感染症「COVID─19」について最初にWHOに報告したのは昨年12月31日。欧州では1月まで感染者の確認はないとされていた。

WHOのリンドマイアー報道官はジュネーブで開かれた国際連合のブリーフィングでフランスの報告について「全貌が変わる内容だ」とし、「感染がどのように広がったかを探る上で理解が深まる」と指摘。「検体を改めて検査すれば、より早い時期の事例が他にも見つかる可能性がある」と述べた。

フランスでは肺炎患者の検体を改めて検査したところ、昨年12月27日に新型ウイルス感染症の患者がいたことが判明。これは仏政府が最初の感染者を確認した日より1カ月近く前となる。

リンドマイアー氏は、他の国も感染源が不明な19年末の肺炎患者の検体を調べることを求め、世界が「より明確な新しい見解」を得ることができるとした。

また、新型ウイルスの発生源についての質問には「調査することが非常に重要だ」と答えた。

ポンペオ米国務長官は、中国湖北省武漢市の研究所が新型ウイルスの起源だとの「証拠がある」と主張しているが、科学者はWHOに対して発生源が動物という見解を示している。

WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は4日、WHOが1月に中国へ専門家チームを派遣した際、新型ウイルスの発生源究明を最優先課題として取り上げたと述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染58人確認 3日連続で減少続く
・日本とは「似て非なる国」タイのコロナ事情
・「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に
・トランプ「米国の新型コロナウイルス死者最大10万人、ワクチンは年内にできる」


20050512issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:戦争終結ならウクライナ人労働者大量帰国も

ビジネス

米国株式市場=反落、来週のFOMCや主要指標に警戒

ワールド

米中外相が電話会談、両国関係や台湾巡り協議 新政権

ビジネス

NY外為市場=ドル、週間で1年超ぶり大幅安、トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ人の過半数はUSスチール問題を「全く知らない」
  • 3
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄道網が次々と「再国有化」されている
  • 4
    いま金の価格が上がり続ける不思議
  • 5
    電気ショックの餌食に...作戦拒否のロシア兵をテーザ…
  • 6
    早くも困難に直面...トランプ新大統領が就任初日に果…
  • 7
    軍艦島の「炭鉱夫は家賃ゼロで給与は約4倍」 それでも…
  • 8
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 9
    「ホームレスになることが夢だった」日本人男性が、…
  • 10
    ロシア軍高官の車を、ウクライナ自爆ドローンが急襲.…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵を「いとも簡単に」爆撃する残虐映像をウクライナが公開
  • 4
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 7
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 8
    いま金の価格が上がり続ける不思議
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 7
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 8
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 9
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中