強制送還された中米移民の子供たちを待つ暴力とコロナ差別
母国に戻された不法移民が暴力や差別に直面 JOSE CABEZAS-REUTERS
<メキシコをはじめ中米諸国に強制送還された子供たちが、コロナ激震地アメリカからの帰国を理由に差別を受けている。既存の脅威であるギャング犯罪と二重苦に>
新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため国境を越える人の移動が大きく制限されるなか、米トランプ政権が推し進める不法移民の強制送還が物議を醸している。
ユニセフ(国連児童基金)によれば3月上旬以降、アメリカからメキシコやエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスに強制送還された保護者の同伴なしの未成年者は少なくとも1000人以上。彼らは新型コロナウイルスによる死者数が世界一多いとされるアメリカからの帰国者だという理由で、母国で暴力や差別などの深刻なリスクにさらされているという。
感染を恐れて、帰国者が出身地域への帰還を拒否される例も報告されている。「新型コロナウイルスによって子供たちを取り巻く厳しい状況は一段と悪化している」と、ユニセフのヘンリエッタ・フォア事務局長は言う。「子供たちは母国を去るそもそもの原因となったギャング犯罪など既存の脅威に加えて、差別や暴力にも直面している」
<2020年6月2日号掲載>
【参考記事】マスク姿のアジア人女性がニューヨークで暴行受ける
【参考記事】新型コロナウイルスで棚上げされた欧州難民危機
2020年6月2日号(5月25日発売)は「コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学」特集。行動経済学、オークション、ゲーム理論、ダイナミック・プライシング......生活と資産を守る経済学。不況、品不足、雇用不安はこう乗り切れ。