最新記事

新型コロナウイルス

米経済再開でレストランは解禁でも教会はまだダメ

California Governor Newsom Allows Some Restaurants to Open for Dine-In While Court Upholds His Ban on Church Services

2020年5月25日(月)16時40分
エミリー・チャコール

コロナ対策で教会が閉鎖の間、信者の家を訪ねて歩くカトリックの助祭(5月24日、ニューヨーク市) Mike Segar-REUTERS

<カリフォルニア州の一部では経済再開が進み、飲食業も含む多くの業態が再開する見込みだが、トランプが再開を命じた教会での礼拝はまだ禁止のまま>

南カリフォルニアのオレンジ郡では、州の公衆衛生当局の承認をうけて5月23日にレストランでの着席型の食事提供の再開が認められた。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は州内の学校と経済活動再開に向けて4段階のガイドラインを制定している。オレンジ郡は5月23日に第2段階に移行し、それとともにいくつかの業種の営業制限が緩和された。

第2段階では、小売業、製造業、事務所、および屋外型の博物館なども、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ対策を実施しながらであれば、再開することができる。

カリフォルニア州政府によれば、第2段階に移行するには、新型コロナウイルスの新規感染者と入院患者の増加が7日間にわたって最低水準を維持する、といった要件が必要になる。

「多くの企業が迅速に活動再開を望んでいることは理解しているが、それは確実に安全な方法で行われなくてはならない」と、オレンジ郡監督委員会のアンドリュー・ドゥー副議長は23日の発表で述べた。「適切な指針と安全対策を実施することは、オレンジ郡がこのまま経済全体の活動を再開させていくうえできわめて重要だ」

教会はハイリスク

だが、「密」な集まりは話が別だ。ドナルド・トランプ大統領が先週末、教会は「信仰の自由」に鑑みて礼拝を再開せよと命令したにもかかわらず、カリフォルニアも含む多くの州の州知事は、教会に人が集まれば感染拡大につながりかねないとして礼拝を禁じている。トランプは、州知事が命令に従わなくても自分が再開を許すと言っているが、大統領にその権限があるかどうかははっきりしない。

連邦控訴裁判所は23日、教会が集会を開くことを禁止したカリフォルニア州の規制を支持した。この判決は、2週間前にサウスベイ・ユナイテッド・ペンテコステ派教会が提起した訴訟に関するもの。同教会は、礼拝の禁止は、宗教の自由を妨げる法律の制定を禁ずる合衆国憲法修正第1条に違反していると主張した。これに対して裁判所は「われわれが直面しているのは、伝染性が極めて強く、時には死に至る、現在のところ治療法がない病気である」としてカリフォルニア州の立場を支持した。

全米の多くの教会はオンラインで礼拝を行っており、十分うまくいっているという立場だが、一部の教会はトランプの命令を機に礼拝を再開している。

ニューサムの経済再開計画では、宗教施設は、第3段階に至って初めて再開できる高リスクの施設に分類されている。サウスベイ・ユナイテッド・ペンテコステ派教会のフェースブック・ページに投稿された投稿によると、この訴訟を担当した弁護士は23日に最高裁判所に控訴した。

(翻訳:栗原紀子)

<参考記事>マスク着用を拒否する、銃社会アメリカの西部劇カルチャー
<参考記事>あまりにも悲痛な事態を前に言葉を失うアメリカ社会

20200602issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月2日号(5月25日発売)は「コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学」特集。行動経済学、オークション、ゲーム理論、ダイナミック・プライシング......生活と資産を守る経済学。不況、品不足、雇用不安はこう乗り切れ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

イスラエル、債務残高の対GDP比率が69%に上昇 

ワールド

議事堂襲撃事件、大統領恩赦で大量釈放、世論調査60

ワールド

日米外相、ロ朝の連携や中国の対ロ防衛産業支援巡る懸

ビジネス

エアバス、経営状態は想定より良好 リスクも=CEO
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 7
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 8
    トランプ新政権はどうなる? 元側近スティーブ・バノ…
  • 9
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 10
    「敵対国」で高まるトランプ人気...まさかの国で「世…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中