最新記事

テロリズム

カナダで「童貞テロ」を初訴追──過激化した非モテ男の「インセル」思想とは

What Is the 'Incel' Movement? Canadian Incel Teen Charged With Terrorism

2020年5月21日(木)15時20分
ジェフリー・マーティン

インセルを動機とする暴力が広く知られるようになったのは、2014年にエリオット・ロジャー容疑者が起こした事件だった。ロジャーはカリフォルニア大学サンタバーバラ校の近くで6人を殺害し、14人に怪我を負わせた後に自殺した。彼は自伝風の声明文を残しており、他人に対する暴力的な衝動について説明していた。一部にはこの声明を、インセルのマニフェストと称する声もある。

ロジャーは声明文に、「女たちが俺に性的魅力を感じさえすれば幸せな人生になっていたのにと考えると、身体中が憎しみに燃え上がる」と書いていた。「女どもが俺から幸せな人生を奪った。だから仕返しに、あいつらの人生すべてを奪ってやる。それでやっと公平になる」

テキサス州公安局が1月に発表した報告によれば、インセルの男たちや、その哲学に感化された者による暴力事件は、増加傾向にあるようだ。

「女性に拒絶された怒りがエスカレートしてインセルに忠誠を誓うようになったり、さらに一歩踏み込もうとしたりする行動に変わる可能性がある」と報告書は指摘した。「その結果、インセル運動がテロ行為と見なされるまでになっているのだ」

20200526issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月26日号(5月19日発売)は「コロナ特効薬を探せ」特集。世界で30万人の命を奪った新型コロナウイルス。この闘いを制する治療薬とワクチン開発の最前線をルポ。 PLUS レムデジビル、アビガン、カレトラ......コロナに効く既存薬は?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ハーバード大の免税資格剥奪を再表明 民

ビジネス

米製造業新規受注、3月は前月比4.3%増 民間航空

ワールド

中国、フェンタニル対策検討 米との貿易交渉開始へ手

ワールド

米国務長官、独政党AfD「過激派」指定を非難 方針
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中