所得による日本の大学進学格差は、現状でも実質的な違法状態
上の<図2>に示したように、各県の大学進学率は、父親世代の所得と強く相関している。相関係数は+0.7724にもなる。先の<図1>と並べてみると、各県からの大学進学チャンスは、能力よりも経済力に規定されている印象すら受ける。
教育基本法第4条は「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」と定めている。だが高等教育段階では、経済力や居住地域に応じた教育機会の配分になってしまっている。
今年度から住民税非課税世帯の大学の学費は実質無償になり、それに準じる低所得世帯の学費も減額されることになった。返済義務のない給付型奨学金も導入されている。加えて、地方出身の下宿学生への補助も考えられていいだろう。東京大学は女子学生の家賃補助を行っているが、地方の優秀な女子学生を呼び寄せる上で有効だ。教育の機会均等を実現させるには、地域的なハンディの克服も視野に入れなければならない。
<資料:文科省『全国学力・学習状況調査』(2012年度)、
文科省『学校基本調査』(2019年度)、
総務省『就業構造基本調査』(2017年)>