新型コロナ感染とともに広がるインドのイスラム嫌悪
モディ首相はインドをコロナと差別から守れるか SPUTNIK PHOTO AGENCY-REUTERS
<イスラム教団体の大規模集会が感染症のクラスターに、与党政治家からは「コロナ・テロだ」という発言も>
総人口の約80%がヒンドゥー教徒、約14%がイスラム教徒というインドで、イスラム嫌悪が広がっている。首都ニューデリーで開かれたイスラム教の大規模集会が、新型コロナウイルスのクラスターになったとみられているからだ。
イスラム教団体タブリーグ・ジャマートは3月8日から3日間、ニューデリーで大規模集会を開催。ここでの感染がインド全域に広がったとみられており、与党政治家の中には集会を「コロナ・テロだ」と公言する者も現れた。
同団体は2月末、マレーシアの首都クアラルンプールで大規模な集会を開催していた。これが現在の東南アジアにおける感染拡大の震源地とされており、その参加者がニューデリーでの集会にも複数参加したとみられている。
イスラム嫌悪の広がりで、4月4日にはムスリム家族の乳児が病院から診療を拒否され死亡した。生活環境の劣悪な貧困層への感染の広がりが危惧されるなか、差別は被害拡大に拍車を掛けるだけだ。
<本誌2020年4月21日号掲載>
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