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中国、コロナ感染第二波を警戒

2020年4月14日(火)13時35分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

4月5日の夜には34名の医療従事者から成る牡丹江紅旗医院の第1期支援チームが綏芬河市の方艙医院に到着した。

また3月31日以来、黒竜江省の省レベルからも71人の医療関係者が綏芬河市と牡丹江市に派遣されており、牡丹江市は151人の医療関係者を中心として支援チームを綏芬河市に派遣している。

住民が外出する時には、必ず当局が健康コードをスキャンして「追跡」を続ける。猫の子一匹通さない厳しさである。

こうして第二波が押し寄せないように厳戒態勢を取っているのが中国の現状だ。

それに比べて日本は

冒頭に書いた報道の「6」にある「無症状感染者」に対する中国の対応は注目に値する。

日本では無症状感染者だけでなく、軽症感染者でさえ自宅待機させている地域が多い。日本政府が「国」として絶対的な方針を示さず、財政的補償を避けるために何もかも「自己責任」で、国家としての責任を取ろうとしないからだ。このような国も珍しい。

これでは感染を抑えることは出来ないのは明らかだろう。

中国でも、ごく初期の間は試行錯誤的に自宅待機者もいたが、中国の伝染病や免疫学の最高権威である鍾南山院士が、ウイルス感染している者には全て、ウイルスを他人に感染させる危険性があるので、必ず隔離しなければならないとして、全員を隔離施設に入れる方法に早期から切り替えている。

安倍内閣は「国民の命」が優先なのか、それとも「国の懐(ふところ)具合」が優先なのか。

何もかも「自粛、自粛」で国が「補償付き休業」を指示することを怖がっている。個人の人権を守るため(私権制限を回避するため)などという理屈は、この生死を分けたウイルス戦では通用しない。「人権」「私権」以前に「人命」が失われる。

その自覚も覚悟も安倍内閣にはない。

追記:なお黒竜江省当局は4月13日、「もし検査を潜り抜けた不法越境者を当局に通報した場合は賞金として3000元(約4万5千円)を、本人が不法越境者を捕まえて当局に連行した場合は5000元(約7万5千円)を賞金として与える」という通達を出した。中国政府の本気度が窺える。

(なお、本コラムは中国問題グローバル研究所の論考から転載した。)

Endo_Tahara_book.jpg[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』(遠藤誉・田原総一朗、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

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