韓国・文在寅政権にとって日韓通貨スワップの要請は諸刃の剣
日韓関係が悪化し日韓通貨スワップ協定が終了
日韓関係が悪化した2012年、日韓通貨スワップ協定が終了し、2015年にチェンマイ・イニシアティブに基づく日本と韓国のスワップ協定が満期を迎えた頃から韓国金融界を中心に米国との通貨スワップを求める声が上がりはじめた。
日韓通貨スワップは米ドルまたは日本円で、引き出し後に必要な通貨と容易に交換できるが、他の2国間スワップは中国元など相手国通貨である。韓国は基軸通貨のスワップを求めたが、米国が交渉の席に着くことはなかった。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、韓国ウォンに加えて豪ドルやNZドルが10数年来ぶりの安値に下落し、メキシコペソが過去最安値になると、FRBはグローバルでドル調達市場の緊張を緩和させるため、通貨スワップを締結する。対象国は2007年から09年の金融危機時に通貨スワップを締結した各国で、新型コロナウイルスの終焉後に通貨スワップが継続する可能性はほぼないとされる。
総選挙を控え与党支持者の間で日韓スワップに批判の声
韓国金融界や経済界は日韓通貨スワップの再開に期待し、中央銀行も有用性を唱えるが、韓国政府は公式な要請を行なっていない。
韓国銀行は李柱烈総裁を筆頭に日本とのスワップ協定を推進したい考えを示し、丁世均(チョン・セギュン)首相も3月27日の会見で日韓通貨スワップの再開に言及したが、今のところ日本は公式な要請がないスワップを検討する考えはないようだ。
韓国マスコミなど、2国間通貨スワップは両国が恩恵を受けるとしてスワップを検討しない日本を批判するが、日本は基軸国通貨スワップのメンバーであり、日韓スワップは事実上、韓国のみ恩恵を受ける協定となる。
4月15日の総選挙を控え与党支持者の間で丁首相の日韓スワップの必要性発言を批判する声が上がっている。金融界や財界は日韓スワップを要望するが、日本批判をしてきた文政権にとって日韓スワップの要請は諸刃の剣となりかねないのだ。